韓国の拉致被害者家族、北への宣伝ビラ10万枚散布強行へ 緊張高まる非武装地帯近隣の住民は猛反発
散布するビラには日本人の横田めぐみさんの写真も
また「必ずしも風船でなくてもビラを送る方法は多い。北朝鮮が離散家族などの問題について対話し、韓国へゴミ風船を送る行為などを中断せよという趣旨だ」と話した。
散布予定のビラには拉致被害者の写真と説明文が書かれており、チェ代表の父親などの韓国人拉致被害者6名に加えて、日本人の拉致被害者、横田めぐみさんも掲載された。
チェ代表は「色々な状況などを考慮して来週中には公開散布をする。ビラには1ドル紙幣だけを入れる予定であり、USBなど他の物は入れない予定だ」と話した。
また、北朝鮮へのビラ散布が南北関係にかえって緊張感を与えるという指摘に対しては、「北朝鮮に拉致被害者や離散家族の再会などの対話を要求し、韓国に向けての宣伝放送やごみ風船散布を止めるよう要求するのが先だ」とし、「私たちにだけしきりに中断しろと言うのは本末転倒だ」と反論した。
そして、宣伝ビラ配布について「具体的な公開散布時間と場所はまもなく公示する」と話した。
非武装地帯に接する住民の苦しみ
今回、拉致被害者家族の団体が宣伝ビラの散布を行うと発表した坡州市は韓国北西部に位置し、非武装地帯を隔てて北朝鮮と向き合っている。そのため、南北関係の緊張が高まると住民たちはその影響を受けざるを得ない。実際、北朝鮮からのゴミ風船が飛んでくるほか、9月下旬からは北朝鮮が拡声器で動物の鳴き声や金属を引っ掻くような騒音を爆音で流しだし、生活に大きな支障を及ぼしているという。
住民の高齢者は「睡眠薬と鎮静剤を飲んでも無駄だ。耳栓をすると耳がただれて炎症が起きた。政府関係者はここに来て一晩だけでも過ごしてみるべきだ。とても苦しい。どうか助けてほしい」と涙を流した。また別の住民は「以前の拡声器放送は人の声だったが、今度のは騒音で拷問し、精神病になりかねないほどだ」と訴えた。
さらに、北朝鮮からの軍事行動に備えるため韓国軍の警備も強化されたため、大通りには装甲車が配置され、農作業をしていても兵士から追い出されることもあるという。また、平時であれば政府の許可を得た観光客のツアーも行われていたが、それらも突然中止になってしまい、宿泊業者も含めて、地域経済に影を与えつつある。