北朝鮮の「女子アナ」がショック死 「内臓がはみ出し...」「虐殺レベル」 見せしめ極刑の衝撃場面
Fly Of Swallow Studio/Shutterstock
<脱北者が語ったのは、北朝鮮で行われている残酷な公開処刑の現実。情報統制が困難になるにつれ、処罰の強化による恐怖政治に頼らざるを得なくなっているという>
北朝鮮はコロナ禍以降、恐怖政治をさらに強化している。
一度に10人以上を公開銃殺にすることもあれば、10代の若者も極刑の対象に含めてている。実際にその場面を目撃した脱北者は「虐殺」レベルだと怒りをあらわにした。
キム・イルヒョクさん:一度に9人、11人と言葉にするのは簡単ですが、撃ち殺されているのは人間です。積み上がった遺体が山をなすほどで、想像するだけで恐ろしいことです。
昨年5月に木造船に乗って脱北したキム・イルヒョクさん。彼が北朝鮮で目撃したのは少なくとも10回以上に及ぶ。キムさんは、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に応じ、コロナ禍の始まる前の2019年から公開処刑が増え、黄海南道(ファンヘナムド)載寧(チェリョン)郡では昨年2月と3月、2回に分けて合計20人が銃殺されたと証言した。
キムさんは脱北直前の昨年4月初旬、黄海南道の碧城(ピョクソン)郡の中心市街地で、刑の執行を目の当たりにした。
野菜畑に引き立てられてきた死刑囚は、顔を布で覆われ、柱に縛りつけられた。その場には1000人もの人が動員され、一部始終を見せられた。そして、安全員(警察官)は、彼が強盗殺人を犯したとメガホンを使って罪状を読み上げた。
その後、安全員3人が現れ、それぞれ3発ずつ銃弾を打ち込んだ。この光景を最前列で目の当たりにした、朝鮮労働党碧城郡委員会の宣伝部の女性放送員(アナウンサー)は、ショックのあまりその場で気を失った。
キムさん:安全員3人がやって来て(死刑囚を)撃ちました。内臓が...(はみ出た)。最前列でそれを目の当たりにした、(碧城)郡の(朝鮮労働)党の宣伝部放送員は、嘔吐して気絶し、車で運ばれていきました。次の日に聞いたところでは、心臓発作で亡くなったそうです...
(参考記事:北朝鮮の15歳少女「見せしめ強制体験」の生々しい場面)
米国の人権団体「北朝鮮人権委員会」(HRNK)のグレッグ・スカラチュー事務総長は、こうした傾向について次のように述べた。
スカラチュー氏:思想(の状況)が乱れれば、北朝鮮は当たり前のように恐怖政治を行います。これがいま北朝鮮で起きていることです。情報統制が徐々に困難となりつつあることには疑いの余地はありません。したがって、処罰が強化され、処刑が行われます。また、金正恩氏の思想にも大きな問題があります。彼が、金氏一家の(家訓である)統一という概念を取り払い、レーニンとマルクスの要素を前面に出したことで、イデオロギー的には深刻な混乱が起きています。それで処罰を強化するしかないのです。
(参考記事:北朝鮮「骨と皮だけの女性兵士」が走った禁断の行為)
[筆者]
高英起(デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト)
北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』(新潮社)、『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)、『北朝鮮ポップスの世界』(共著、花伝社)など。近著に『脱北者が明かす北朝鮮』(宝島社)。
2024年12月10日号(12月3日発売)は「サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦」特集。地域から地球を救う11のチャレンジとJO1のメンバーが語る「環境のためにできること」
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら