中国「世界最大の移動」春節の感染拡大 100万人以上死亡の懸念
新型コロナ治療のため点滴を受ける人々(上海、1月9日).....REUTERS-cnsphoto
<「世界最大の移動」が起きる春節、新型コロナ感染が爆発している......>
ゼロコロナ政策を撤廃した中国で、新型コロナウイルスの感染者が急増している。中国政府は大規模な検査および日別の感染者数発表を取りやめており、現状の正確な把握は困難となった。だが、国外のメディアは各省や関係者らによる情報をもとに、厳しい状況を指摘する。
米ワシントン・ポスト紙は1月11日、「中部河南省は、月曜(9日)までに約8900万人の住民が感染したとの予測を示した。各病院の処理能力を上回っているとも述べた」と報じた。
英BBCは省の保健当局による発表をもとに、感染者数を8850万人としている。記事は中国で3番目に人口が多い同省において「住民の9割近く」が感染した計算だと指摘する。
同省の農村で活動する医師の息子は、英ガーディアン紙に対し、「朝から晩まで忙しい」「村には発熱者が非常にたくさんおり、いくつもの家庭に広がっているが、解熱剤の入手は困難だ」と語った。
河南省は古くから交通の要衝であり、鉄道幹線が交差する鄭州駅および鄭州新鄭国際空港が立地するほか、議論を呼んでいる三門峡ダムの所在地としても知られる。
一方、南西部重慶市などの一部自治体は独自に、「(感染のピークを)過ぎたとみられる」と発表している。これに対しワシントン・ポスト紙は、客観的なデータがほとんど提示されていないと述べ、「提示されている根拠は乏しい」と指摘している。
コロナ薬は20倍超の95万円に値上がり 北京では病院職員1000人感染も
医療体制は逼迫している。米CNBCは1月12日、研究機関を併設する大規模病院の北京中医医院において、職員2000人のうちおよそ半数が新型コロナウイルスに感染していると報じた。病院長は記者団に対し、「労働者たちは皆、伝統的な漢方薬を服用し快復した」と説明している。
医薬品も不足している。ワシントン・ポスト紙は中国国営メディアによる報道をもとに、グレーマーケットでの医薬品の取引が活発化していると報じている。ファイザーが製造する経口抗ウイルス薬のパキロビッドパックは、通常1箱約340ドル(約4万3900円)のところ、北京では20倍を超える7400ドル(約95万6000円)で販売されているという。
パキロビッドパックはファイザーとの契約更新が難航したことで、品不足が続いていた。1月9日になって同社は、現地企業に製造ライセンスを供与したと発表している。