最新記事

航空機

離陸直後の飛行機から火花!それでも危険飛行を続けた理由とは

Shocking Video Shows Sparks Shooting From Plane Moments After Takeoff

2022年9月26日(月)15時15分
サラ・サントラ

ユナイテッド航空ボーイング777型機(イメージ。2015年、サンフランシスコ)Louis Nastro-REUTERS

<離陸直後のユナイテッド航空機から派手に火花が飛ぶ場面を空港の係員が撮影。その驚くべき光景が、SNSで話題になり拡散されている>

ニュージャージー州ニューアークの空港で、離陸したばかりのユナイテッド航空の機体後部から火花が散る様子を撮影した動画が拡散されている。

ムルタラ・ムバケが撮影したこの動画は 9月22日にインスタグラムに投稿され、すでに13万回近く再生された。視聴者からは火花は「機械的な問題」によって引き起こされたのだろうというコメントがいくつか寄せられている。

【動画】盛大に火花を散らしながら飛ぶユナイテッド機

ローカル局ニュース12ウエストチェスターによれば、ユナイテッド航空は声明で、同機が離陸直後にメカトラブルを起こしたことを確認。「初期保守検査」で「油圧ポンプの問題」が指摘されたと付け加えた。さらに、同機は搭載されていた燃料を燃やした後、安全に緊急着陸したと説明した。

なぜ直ちに着陸しなかったんか。2020年1月、USAトゥデイに寄稿した記事のなかでU.S.エアウェイズの元パイロット、ジョン・コックスは、航空機は「最大着陸重量(機体が損傷なく着陸時の激しい衝撃に耐えることができる限界値)よりも重い状態で空港を出発することが頻繁にある」と述べている。

【動画】火を吹くエンジン、横向いた車輪......危険な緊急着陸

緊急着陸の条件

「通常の飛行では、着陸までに機体の重さが最大着陸重量の数値を下回るように燃料を消費する計画を立てる」と、コックスは述べた。「だが航空機が技術的な問題や乗客の健康上の問題に遭遇し、離陸からそれほど時間が経っていない段階で緊急着陸する必要が生じると、重量を最大値以下にするだけの燃料を消費することができない」。

コックスによると、重量オーバーの状態で着陸の必要が生じた場合、パイロットには3つの選択肢がある。「最大着陸重量まで燃料を燃やす」ために飛行を続けるか、重量オーバーのまま飛行機を着陸させるか、あるいは燃料を捨てるか、だ。

「どの選択肢が適切かは、状況しだいだ」と、コックスは言う。

例えば2018年、あるパイロットは乗客が「命に関わる健康上の問題で倒れた」ため、緊急着陸ができるように空中で約15キロの燃料を投棄した。2019年には、ジェットブルーのパイロットが、飛行機が雷に打たれたため、重量オーバーのまま着陸を余儀なくされた。そして2020年1月には、緊急着陸をせざるをえなくなった航空機が、小学校の上にジェット燃料を投棄した。

NBCシカゴによると、ユナイテッド航空のパイロットは燃料を燃やすことを選択し、緊急着陸する前に90分間大西洋上を周回したという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ノルウェー議会、政府系ファンドの投資倫理指針見直し

ワールド

英予算、大幅増税回避なら「トラス・ショック」再来も

ワールド

サウジの「F-35」大量購入、米国防総省内で承認進

ワールド

中国、24%の対米関税を1年間停止へ 10%の関税
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に「非常識すぎる」要求...CAが取った行動が話題に
  • 4
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 5
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    「白人に見えない」と言われ続けた白人女性...外見と…
  • 9
    高市首相に注がれる冷たい視線...昔ながらのタカ派で…
  • 10
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中