最新記事

健康

気圧が下がると頭痛を起こす「気象病」 天候変化が体調に影響する理由とは?

2019年10月24日(木)13時35分
今井 明子(気象予報士・サイエンスライター) ※東洋経済オンラインより転載

最近ではエアコンで夏は涼しく、冬でも温かく過ごすことができます。こういう体にとってやさしい環境は、自律神経系の働きを弱めることにつながり、気圧の変化などで自律神経のバランスが崩れやすくなって、気象病に悩む人が増えている原因のひとつです。たまには意識して汗をかくほうがよいでしょう。

また、気象病の人は耳の血流が悪い傾向があると言われています。ですから、耳の血流をよくすれば、気象病の予防にも役立ちます。

気象病を予防するには

気象病がつらいという人は、下の(1)~(4)のマッサージを1日3回、痛みの出ない程度の力で行ってみてください。

(1)耳を上下横に5秒ずつ引っ張る
(2)耳の横の部分をつまみ、軽く引っ張りながら後ろに向かって5回ゆっくり回す
(3)耳の下に親指を当て、上に人差し指を当てて上下に折り曲げる。この状態で5秒キープする
(4)耳全体を手で覆い、後ろに向かって円を描くようにゆっくり5回回す

佐藤先生の天気痛外来では、患者の症状に合わせて内耳の調整薬を処方すると症状が改善する場合があるそうです。内耳の揺れを抑えるための内耳の調整薬は、気圧の変化にも有効かもしれません。

toyokeizai191021_2.jpg

気圧の変化が一目でわかり、注意したほうがよい時間帯もわかるようになっているアプリ。また、ツイッターアカウントもあり、気象予報士がその日の気圧や気温の変動について注意喚起を行っています(画像提供:ポッケ)

もし、自分の症状が乗り物酔いとよく似ているのなら、市販の酔い止めの薬でも、種類によっては効く可能性があるそう。ただし、効き目は商品や本人の体質によってばらばらなので、まずは医師に症状を伝えたうえで薬剤師に相談し、購入するようにしましょう。

気圧の変化を見ながら、自分の気象病の症状がいつ出るのかを把握しておけば、気象病に対する心構えや薬を飲むタイミングもわかります。「頭痛ーる」というアプリは、気圧の変化がわかるだけではなく、気圧が大幅に変化するときに注意のメッセージも表示されます。自分の体調や薬を飲んだタイミングも記録できるので、体調管理に活用してみるとよいでしょう。

私自身も気圧の変化がわかるお天気アプリは「頭痛ーる」のほかには見当たらないので、よく活用しています。

天気による体調不良は「気のせい」ではありません。あらかじめ体調が悪くなりそうかがわかれば、それだけでもさまざまな対策が取れるのではないでしょうか。



※当記事は「東洋経済オンライン」からの転載記事です。
toyokeizai_logo200.jpg

ニューズウィーク日本版 日本人と参政党
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年10月21日号(10月15日発売)は「日本人と参政党」特集。怒れる日本が生んだ参政党現象の源泉にルポで迫る。[PLUS]神谷宗幣インタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米中、効果的な意思疎通必要 デカップリング「合理的

ビジネス

IMF、今年のアジア成長率予想4.5%に引き上げ 

ワールド

トランプ氏、プーチン氏と16日電話会談 ウ大統領訪

ビジネス

金融緩和による資産価格上昇リスク懸念せず=ミランF
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口減少を補うか
  • 2
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 3
    間取り図に「謎の空間」...封印されたスペースの正体は?
  • 4
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 5
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 8
    疲れたとき「心身ともにゆっくり休む」は逆効果?...…
  • 9
    ホワイトカラーの62%が「ブルーカラーに転職」を検討…
  • 10
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇…
  • 1
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 4
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 5
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 6
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中