未婚女性が結婚相手の男性に求める年収とは......理想と現実の大きなギャップ
これをもって女性の「高望み」を責めるのはたやすいが、賃金には性差があり、かつ女性は結婚すればバリバリ稼ぐのが難しくなる。未婚者と既婚者の所得カーブを、男女で分けて比較してみるとよく分かる<図2>。
男性は未婚者より既婚者の所得が高いが、女性はその反対だ。未婚者ではジェンダー差がなく、結婚のインパクトが男女で逆であることが分かる。女性は結婚すると、正社員であっても稼ぐのが難しくなる。
これでは、女性は結婚相手にある程度の収入を期待せざるを得ない。しかし稼ぎのある男性は減っており、ゆえに未婚化が進行する(山田昌弘『モテる構造 男の女の社会学』ちくま新書、2016年)。こうした現実があることは否定できない。
未婚化・少子化に歯止めをかけるには、夫婦二馬力で稼げるようにして、かつ給与の性差を是正する必要がある。男性の家事・育児分担を促し、保育所も増設しなければならない。こうした対策が進んだ北欧諸国では、日本で見られるような未婚男女の「すれちがい」は小さいのではないか。
昭和の高度経済成長期ならいざ知らず、男性の腕一本で家族を養える時代などとうに終わっている。令和の時代になっても、偏狭な性役割分業を前提としたシステムが維持されるなら、少子化が止まるはずはない。