スー・チー、人材育成のため投資呼びかけ ASEANビジネス投資サミットで
ASEANビジネス・投資サミット2018(ABIS2018)でミャンマーへの投資を訴えるスー・チー Athit Perawongmetha / REUTERS
<ロヒンギャ族への虐殺によって国際的に批判を受けたミャンマー。実質的な指導者のスーチーは、海外からの投資を呼びかけるが──>
ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家最高顧問兼外相は12日、シンガポールで開催された「ASEAN(東南アジア諸国連合)ビジネス・投資サミット2018(ABIS2018)」で基調講演し、ASEAN各国や日本など国際社会に対し「ミャンマーは(ASEAN域内の)最後のフロンティアであり、人材を養成するためにも是非さらなる投資をしてほしい」と呼びかけた。
経済関連のASEAN会議であることから基調講演では一切政治的な問題には触れることなく、現在のミャンマーが置かれている経済的な立場について「決して発展途上国という言葉は使わないが、シンガポールのように目覚ましい発展を遂げている訳ではない」と謙虚に現状を分析した。
そのうえでミャンマーの投資環境について「より簡素な手続きでより迅速に進めることが肝心である。できることとできないことをきちんと見極めてできることからやってほしい」としたうえで「投資を考えている人たちはまずミャンマーに来て自分の目でミャンマーの現状を見てほしい」と企業担当者らによるミャンマー訪問を強く求めた。
さらに海外からの投資に関しては「国内にミャンマー投資委員会(MIC)ができており、この一つの窓口だけで手続きが済むように、よりスムーズな投資に努めている」と政府を挙げて海外からの投資誘致に積極的に取り組んでいる姿勢を改めて強調した。
他国が歩いている間に走るミャンマー
スー・チー顧問は「ミャンマーがビルマとして独立するころ、当時の指導者は他の国が歩いている間に我々は走らなくてはならない、とはっぱをかけていたが、今のミャンマーもまさに同じである」として世界水準に追いつくために懸命にミャンマーが走ろうとしていることを伝えようとした。当時の指導者というのは明言こそしなかったものの実父で「ビルマ独立の父」と国民から慕われるアウンサン将軍のことが念頭にあったのは間違いないとみられている。
ミャンマーの現状についてスー・チー顧問は基本的に農業国であることから「食の安全保障はとても大きな問題として関心を寄せている」と農業分野での投資を歓迎し、さらにサービス関連分野や健康問題、そして教育の分野への投資を特に求めているとの考えを示した。