最新記事

映画

文在寅、現職大統領で初訪問 支援と不介入を約束した釜山国際映画祭

2017年10月30日(月)08時17分
杉本あずみ(映画配給コーディネーター)

「ナラタージュ」でアジアスターアワード賞を受賞した有村架純 (c) BIFF / YouTube

<昨年はさまざまなトラブルに見舞われた韓国・釜山国際映画祭。今年は果たしてどんなプログラムと映画人、そして話題が集まった?>

今年も韓国の映画界にとっては秋の風物詩ともいえる「釜山国際映画祭」が開幕、22回目を迎えた今年は10月12日から21日まで開催された。

去年は映画「ダイビングベル セウォル号の真実」が引き金となって巻き起こった当時の朴槿惠(パク・クネ)政権率いる行政の介入に反対した映画関係者たちのボイコット問題や、それに追い打ちをかけるように台風が直撃し、映画祭中に予定していた様々なイベントを中止せざる負えない状況になるなど、ネガティブな話題が多かった(拙稿「セウォル号、接待禁止に台風直撃 韓国社会の問題が噴出した釜山映画祭」参照)。その結果、来場者数はそれまでの平均来場者数22万人から16万5000人と大きく落ち込んでしまった。

さて、今年の釜山国際映画祭はどうだったのだろうか。入場者数は19万2991人と、去年に比べると17%アップし客足も少しづつ戻ってきたようにうかがえる。

有村架純から故・鈴木清順まで、日本の映画人が受賞

今年の上映作品の特徴として日本映画の選出率の高さが注目された。総上映作品は、75カ国から298本が上映され、そのうち日本映画が過去最多の41本。さらに、コンペティションとして注目される「ガラプレゼンテーション」招待作5作品のうち3作品(日韓合作も含む)が日本映画という異例な状況。そして、アジアを代表する映画祭を謳う理由であり、映画祭のメインセクションである「アジア映画の窓」では、56作品のうち14作を日本映画が占めた。

様々な賞がたくさんあるのも釜山国際映画祭の特徴の一つだが、今年は日本映画の受賞も注目された。キム・ジソク賞「羊の木」、ドキュメンタリー部門「ニッポン国VS泉南石綿村」、ワイドアングル「A Free Man(日独合作)」。さらに、「メアリと魔女の花」で声優を務めた杉咲花がフェイス・オブ・アジア賞に。そして、アジアで活躍するスターを表彰するアジアスターアワード賞を有村架純。アジア映画監督賞は故・鈴木清順監督が受賞するなど、多くの日本作品と日本の映画人の受賞が目立った。


行定勲、有村架純をはじめ日本からも沢山の映画人が参加した (c) BIFF / YouTube

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部の民家空爆 犠牲者多数

ビジネス

米国は以前よりインフレに脆弱=リッチモンド連銀総裁

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ空軍が発表 2人負

ビジネス

大手IT企業のデジタル決済サービス監督へ、米当局が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「ワークライフバランス不要論」で炎上...若手起業家、9時〜23時勤務を当然と語り批判殺到
  • 4
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 8
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 9
    クリミアでロシア黒海艦隊の司令官が「爆殺」、運転…
  • 10
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶり…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中