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北朝鮮情勢北朝鮮がロシアの助けでネット接続強化、サイバー攻撃能力向上か
北朝鮮・平壌の科学技術殿堂で実地指導をする金正恩委員長 REUTERS/KCNA
<核・ミサイル開発問題で中国の対朝姿勢が厳しくなるなか、北朝鮮が頼ったのはロシアだった>
ロシアの大手通信事業者が、北朝鮮とインターネット接続サービスの契約を結んだ。サイバー戦争への備えと見る向きもある。
ロシア通信大手トランステレコムは国営ロシア鉄道の子会社で、同社によれば地球上で最大規模の光ファイバー網を持つという。そのトランステレコムが、孤立する北朝鮮に対してインターネット接続サービスの提供を開始したと、米ジョンズ・ホプキンス大学の北朝鮮分析サイト「38ノース」が伝えた。
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アメリカが北朝鮮の核・ミサイル開発問題をめぐって中国への圧力を強めており、北朝鮮は最大の同盟国でネット接続を依存してきた中国が信じられなくなり、ロシアに助けを求めたのかもしれないと、北朝鮮のIT情報を集めたブログ「ノース・コリア・テック」の管理人で38ノースの報告書を執筆したマーチン・ウィリアムズは言う。
「北朝鮮はアメリカの圧力にさらされる中国を見て、このままではネット接続を切られてもおかしくないと気付いたに違いない」とウィリアムズは本誌に語った。
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ウィリアムズは収集した通信データを解析し、北朝鮮時間の10月1日夜(米東海岸時間の同日午前5時)から新たな接続サービスが始まったことを突き止めた。トランステレコムは北朝鮮とロシアの国境を結ぶ橋経由でサービスを提供しているもよう。北朝鮮の人口は2500万人だがネット利用者はごくわずかで、これまでネット通信は中国国有通信大手、中国聯合網絡通信(チャイナユニコム)1社に依存していた。
サイバー防御か攻撃か
北朝鮮は国内の情報統制を徹底しており、ネットに接続できるのは大学や大手企業、スマホを所有する外国人、政府機関、サイバー軍などに限られている。ロシアの新たな通信会社と契約を結び、国内の通信網を拡充することで、北朝鮮はかつてなく大容量で高速なネット環境を手に入れた可能性があると、ウィリアムズは言う。ロイターはサイバーセキュリティーの専門家の言葉として、北朝鮮はサイバー攻撃を行う能力を増強したのではないか、と推測する。
あるいは、防御のためかもしれない。米紙ワシントン・ポストは9月30日、トランプは大統領就任初期の段階で、北朝鮮の情報機関を標的にしたサイバー攻撃を命じる大統領令に署名しており、実際、攻撃は9月30日まで行われていたという。
トランステレコムの広報担当者は10月2日、英紙フィナンシャル・タイムズの取材に対し、「2009年に北朝鮮の通信事業者、朝鮮逓信会社(KPTC)と締結した合意に基づき、すでに北朝鮮で基幹ネットワークのインターフェースを保有していた」と言った。
(翻訳:河原里香)