最新記事

ソーシャルメディア

米大統領選、ツイッターはリアルよりフェイクのニュースが多かった

2017年9月29日(金)16時15分
ジェシカ・クウォン

激戦州では、報道機関が流したニュースをロシアなど偽サイトのニュースが圧倒した Regis Duvignau-REUTERS

<選挙って何!? ソーシャルメディア時代の選挙がいかに世論操作に弱いかを示し、選挙に対する信頼そのものを損なう研究が明らかに>

昨年の大統領選挙前の10日間、激戦州のツイッターユーザーは、通常のニュースを上回る量のフェイクニュースを受け取っていたことが研究でわかった。

全部で27州の有権者(うち11州が激戦州)が、全米平均をはるかに上回る「ロシアやウィキリークス、でたらめニュースサイト」などのツイートの集中攻撃を浴びていたことを、英オックスフォード大学の研究は明らかにした。

「過激思想や嘘、候補者や政策を嫌悪するように仕向ける意図が明らかなでたらめニュースが、ニュースメディアによる報道を圧倒していた」という。政治や選挙に関連するハッシュタグ(#)が付いた2200万件以上の投稿を分析した結果だ。

フェイクニュースが、ペンシルバニアやミシガンなどの激戦州に集中しているのも悪い知らせだ。人口当たりのニセ情報の量は、激戦州でない州よりはるかに多くなっているという。

トランプが勝ったフロリダ州やニューハンプシャー州も、フェイクニュースが全米平均より集中していた。

大手3社を呼んで公聴会も

「ロシアがソーシャルメディアに力を入れてきたのはわかっている。ターゲットは当然、激戦州だろう」と、オックスフォードの研究を率いたサマンサ・ブラッドショーはマザー・ジョーンズ誌に語った。

ツイッター社の幹部は9月26日、大統領選へのロシア関与疑惑に関して米上院特別情報委員のスタッフと話し合いをしたばかり。

昨年の大統領選でソーシャルメディアそのものが果たした役割と、これだけ世論操作された大統領選とは何だったのかという点にも、改めて追求が及びそうだ。大統領選の最中、ロシアの支持を受けた情報員たちがフェイスブックに偽のアカウントを作って政治広告を買い、世論を分断するような情報を流していたことがわかっている。

ロシアは大統領選に介入するなかで、フェイスブックよりツイッターをもっと大々的に使ったことを示す証拠もある。

米上下院の情報委員会はそれぞれ、フェイスブックとツイッター、グーグルが出席する公聴会を近く予定している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ、ロシア・クルスクで北朝鮮兵2人確保=大

ビジネス

25年は世界の安定成長とディスインフレ継続へ=IM

ビジネス

日鉄のUSスチール買収放棄期限、米当局が6月まで延

ワールド

「日米首脳会談へ地ならし」と岩屋外相、トランプ氏就
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国の宇宙軍拡
特集:中国の宇宙軍拡
2025年1月14日号(1/ 7発売)

軍事・民間で宇宙覇権を狙う習近平政権。その静かな第一歩が南米チリから始まった

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」
  • 4
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    悲報:宇宙飛行士は老化が早い
  • 9
    「本物?」レディー・ガガ、楽曲ヒットでファンに感…
  • 10
    古民家がレストラン・サウナに! 動き出した「沿線ま…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分からなくなったペットの姿にネット爆笑【2024年の衝撃記事 5選】
  • 4
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 5
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 6
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 7
    ロシア兵を「射殺」...相次ぐ北朝鮮兵の誤射 退却も…
  • 8
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    装甲車がロシア兵を轢く決定的瞬間...戦場での衝撃映…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 3
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 4
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中