最新記事

自然災害

地震と間違われた最強ハリケーン「イルマ」、米南部に接近中

2017年9月6日(水)19時28分
トム・オコナー

米海洋大気局が公開した大西洋上の大型ハリケーン「イルマ」(9月5日) Navy photo/REUTERS

<テキサス州に大きな被害をもたらしたハリケーン「ハービー」を上回る「イルマ」。フロリダ州に上陸すれば深刻な事態になりかねない>

8月下旬に大型ハリケーン「ハービー」に見舞われたばかりの米南部に、ハービーよりさらに大きいハリケーン「イルマ」が接近中だ。週末までに米フロリダ州に上陸する恐れがある。米国立ハリケーン・センター(NHC)によれば、イルマは大西洋で発生したハリケーンの中で観測史上最強の勢力を持つ。あまりの威力に、地震と間違われたほど。揺れで地震計が誤作動したのだ。

【参考記事】ハリケーン被災地にピンヒールで向かったメラニア

NHCは5日、イルマを5段階中最強の「カテゴリー5」に引き上げた。風速は少なくとも毎時290キロ。NHCは、米自治領プエルトリコの東に位置するリーワード諸島に「人命を奪いかねない暴風や高潮、豪雨による被害」が発生する可能性があり、米領バージン諸島、プエルトリコ、カリブ海の島国ハイチ、キューバや他のカリブ海の島々も「極めて危険」と警戒を呼び掛けた。イルマが米南部フロリダ州に上陸する可能性は高まったが、現時点で同州を含む米南部でどれほど猛威をふるうのか、専門家は予想進路や被害予想などの分析を急いでいる。

【参考記事】トランプはハリケーン被災者に1人も会わず。メンタルな問題か

アメリカは、8月下旬に米南部のテキサス州やルイジアナ州に広範な被害をもたらした大型ハリケーン、ハービーからの復興を始めたばかり。

死者60人以上のハービー上回る?

イルマがフロリダ州に急接近するなか、同州のキシミー公益事業局は5日、イルマの勢力があまりに凄まじかったため、カリブ海の地震計が誤って揺れを観測したと報告した。フロリダ州のリック・スコット知事は5日、67郡すべてで非常事態宣言を発令し、8日までに州兵7000人を救助支援のために配備すると表明した。スコットはさらに、州全域に必要な物資を届けやすくするため、フロリダ州の道路を通行する車両の重量制限や運転手に課していたなどの規制を外した。

【参考記事】【写真特集】ヒューストンを襲った記録的な豪雨と大洪水

地元紙オーランド・センチネルによれば、「イルマは人命を危険にさらす重大なハリケーンだ。フロリダ州は最悪の事態に備えて準備しなければならない」とスコットは言った。「我々に準備をしないでおく余裕などない」

スコットは、4日にドナルド・トランプ米大統領と話したことも明らかにした。トランプは先週、ハービーで被災した地域の復旧のため、78憶5000万ドルの予算を米議会に要請した。ハービーは「カテゴリー4」でテキサス州ロックポートに上陸し、全米第4の都市ヒューストンを含む主要都市で猛威をふるった。米南部の複数の州で60人以上が死亡し、多数の負傷者や避難者を出した。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

韓国大統領が戒厳令、国会は「無効」と判断 軍も介入

ビジネス

米求人件数、10月は予想上回る増加 解雇は減少

ワールド

シリア北東部で新たな戦線、米支援クルド勢力と政府軍

ワールド

バイデン氏、アンゴラ大統領と会談 アフリカへの長期
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
2024年12月10日号(12/ 3発売)

地域から地球を救う11のチャレンジと、JO1のメンバーが語る「環境のためできること」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや筋トレなどハードトレーニングをする人が「陥るワナ」とは
  • 2
    NewJeansの契約解除はミン・ヒジンの指示? 投資説など次々と明るみにされた元代表の疑惑
  • 3
    NATO、ウクライナに「10万人の平和維持部隊」派遣計画──ロシア情報機関
  • 4
    スーパー台風が連続襲来...フィリピンの苦難、被災者…
  • 5
    シリア反政府勢力がロシア製の貴重なパーンツィリ防…
  • 6
    なぜジョージアでは「努力」という言葉がないのか?.…
  • 7
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える…
  • 8
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖…
  • 9
    「92種類のミネラル含む」シーモス TikTokで健康効…
  • 10
    赤字は3億ドルに...サンフランシスコから名物「ケー…
  • 1
    BMI改善も可能? リンゴ酢の潜在力を示す研究結果
  • 2
    エリザベス女王はメーガン妃を本当はどう思っていたのか?
  • 3
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式トレーニング「ラッキング」とは何か?
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    メーガン妃の支持率がさらに低下...「イギリス王室で…
  • 6
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える…
  • 7
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖…
  • 8
    黒煙が夜空にとめどなく...ロシアのミサイル工場がウ…
  • 9
    エスカレートする核トーク、米主要都市に落ちた場合…
  • 10
    バルト海の海底ケーブルは海底に下ろした錨を引きず…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中