キム・ギドク監督だけでない! 韓国の女優ら、撮影現場の暴力を告発
女優A氏に訴えられたキム・ギドク監督(中央)と、後ろはA氏の告訴に関して行われた共同対策委員会の記者会見(フォトコラージュ) YTN / YouTube
<苛酷なスケジュールのなか、沢山の男性スタッフの中で、理不尽な暴力や意に沿わない形での性的な演技を女優が求められたとき、彼女たちは拒むことはできないのか?>
韓国のみならず、日本など海外でも名の知られた韓国人映画監督の一人キム・ギドク。彼が今、韓国で2013年に制作・公開された映画「メビウス」に関して注目を浴びている。この映画は、第70回ヴェネツィア国際映画祭でも上映され、日本では2014年末に公開されている。
事の発端は、映画で母親役にキャスティングされていた女優Aが、キム・ギドク監督を告訴したのだ。告訴内容は「メビウス」の撮影現場にて、女優Aが監督に頬をぶたれ、さらに男性器を掴むシーンでは、台本には"模型の性器"と記してあったのにも拘らず、撮影現場にて男性俳優の性器をつかむよう指示された、というものだ。撮影は途中で中断となり、結局彼女はこの役を降板した。その後この女優Aに代わって別の女優(イ・ウヌ)が一人二役で母親役も務め、無事完成したのである。
キム・ギドク監督と言えば、毎回作品を発表するごとに、そのセンセーショナルな作品内容が注目を浴びてきた。さらに特徴的なのは、脚本/プロデューサー/編集など多くの映画製作の役割を自ら手掛ける作品が多く、撮影日数もかなり短い。1996年に低予算映画「鰐〜ワニ〜」でデビューして以来毎年のように作品を発表し続けており、韓国内はもとより海外での知名度が高く、カンヌ国際映画祭・ヴェネツィア国際映画祭など各映画祭で常連参加している。2008年には日本人俳優オダギリジョーを起用し「悲夢」という恋愛映画を公開した。
センセーショナルな作風とは異なる素顔
キム・ギドク監督は2004年、私が学生として通っていたソウル芸術大学映画学科の講師として講壇に立ち、私達の映画制作の指導教授を務めていた。当初監督本人に会うまでは、その作品が暴力的だったり、性的描写が激しい作品が多いため、学生たちは緊張を隠せずにいたが、授業が始まるとその印象はすぐに変わった。とてもおしゃべりで、にこやかな素直なおじさんといった人柄で、いかにも監督といった印象とは正反対。常に何かに興味を持っていて、それを多くの人に共有したいという欲求が高い人だった。
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