最新記事

ドイツ

シュレーダー前独首相、露国営石油会社の取締役に メルケルが批判

2017年8月22日(火)15時22分

8月21日、ドイツのメルケル首相(63)は21日、シュレーダー前首相(73、写真)がロシア国有石油会社ロスネフチの社外取締役に就任したことを批判し、自らは政界から退いた後に民間企業の職に就くことは考えていないと述べた。写真はドイツのドルトムントで6月撮影(2017年 ロイター/Wolfgang Rattay)

ドイツのメルケル首相(63)は21日、シュレーダー前首相(73)がロシア国有石油会社ロスネフチの社外取締役に就任したことを批判し、自らは政界から退いた後に民間企業の職に就くことは考えていないと述べた。

ロスネフチは欧米の対ロシア制裁の対象となっている。9月24日の独総選挙にロシアが干渉するのではないかとの懸念が出る中、シュレーダー前首相の社外取締役就任は独国内での批判を引き起こした。

メルケル首相は、大衆紙ビルトのネット生中継でのインタビューで「シュレーダー氏の行動に問題がないとは思わない」と主張。「私はひとたび首相を退任したら、民間でどのようなポストにも就く気はないが、今はまず選挙と、首相再選を目指しているという事実に完全に集中している」と述べた。

シュレーダー前首相はロシアのプーチン大統領との交友関係について率直に認めており、同社の社外取締役に就くという自らの判断の正当性を主張している。

シュレーダー氏は前週、ロスネフチのポストに就くことは、メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)と大連立を組む社会民主党(SPD)に悪影響を及ぼすことはないとの考えを示していた。

シュレーダー氏は労働市場改革に絡んで党内対立を招いており、一部党員からは距離を置かれている。

同氏はロシアからドイツにつながる天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム」事業の株主委員会の委員長を務める。

同氏がロシアとの関係について批判されるのは、これが初めてではない。2014年にロシアがクリミアを併合した数週間後、サンクトペテルブルクで開かれたプーチン大統領の誕生パーティーで大統領を抱擁し、物議を醸した。

[ベルリン 21日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ、鉱物資源協定まだ署名せず トランプ氏「

ビジネス

中国人民銀総裁、米の「関税の乱用」を批判 世界金融

ワールド

米医薬品関税で年間510億ドルのコスト増、業界団体

ワールド

英米財務相が会談、「両国の国益にかなう」貿易協定の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 3
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは?【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 8
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 1
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中