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米ロ関係トランプ大統領、対ロ制裁強化法案に署名 ロシアは通商戦争と反発
8月2日、トランプ米大統領は、ロシアに対する制裁を強化する法案に署名した。同法案は7月27日に上院本会議でほぼ全会一致で可決していた。写真は2日ホワイトハウスで撮影(2017年 ロイター/Carlos Barria)
トランプ米大統領は2日、ロシアに対する制裁を強化する法案に署名した。同法案は7月27日に上院本会議でほぼ全会一致で可決していた。
ロシアのプーチン大統領は可決を受けロシア駐在の米外交官ら755人の国外退去を要請するなど報復を表明していたが、署名を受けロシアのメドベージェフ首相は全面的な通商戦争にあたるとの認識を表明。
米ロ関係改善は遠のいた恐れがある。
ただ可決から署名まで数日かかっていることから、ロシアとの関係改善を目指すトランプ氏が署名に抵抗を示していた可能性がある。トランプ氏は署名はしたものの、外交政策を遂行する大統領の権限を阻害するものと批判し、自身は外国政府と議会よりも「はるかに良好な」交渉ができるとの見解を表明。トランプ氏がどの程度、厳しく制裁を実行に移すかは疑問だ。
今回の法案はロシアのほか、イランと北朝鮮も対象。トランプ氏は署名後、議員へのメッセージで「イラン、北朝鮮、ロシアによる攻撃的でかく乱的な行動を処罰し抑制する厳しい措置は支持しているものの、この法案には決定的な欠点がある」と述べた。
トランプ氏の署名について、ロシアのメドベージェフ首相は「全面的な通商戦争」に相当すると批判。「米政権との関係改善に向けたわれわれの期待は潰えた」と述べた。
米国はロシアが2014年にクリミアを併合したこと受け制裁措置を導入。ロシア経済はすでに影響を受けているが、今回の制裁強化はエネルギー部門を含む多岐にわたる産業を対象としており、影響は一段と拡大する可能性がある。
具体的には、米企業によるロシア企業への投資を制限するほか、ロシア側が33%以上の権益を握るエネルギー探索プロジェクトに米企業が参加することを禁止する。
さらに、ロシアのエネルギー探索活動に投資を行うか支援を行っている外国企業を制裁の対象とするほか、米政権はロシアの天然ガス輸出パイプライン建設に関与している企業も制裁対象に指定することが可能になる。
対象となるパイプラインにはドイツ企業が関与している「ノルド・ストリーム2」も含まれることなどから、欧州連合(EU)は域内のエネルギー安全保障に対する懸念を表明している。