最新記事

北朝鮮

G20首脳は北朝鮮リスク議論へ トランプ=習近平会談がカギ

2017年7月6日(木)16時18分

7月6日、7日開幕するG20サミットでは、北朝鮮問題が主要議題となる。大陸間弾道ミサイル(ICBM)を「レッドライン」としてきた米国が、対北朝鮮で頼みとする中国との首脳会談で連携強化を打ち出せるかが焦点だ。写真左は中国の習近平国家主席、右は米国のトランプ大統領。米フロリダ州で4月撮影(2017年 ロイター/Carlos Barria)

ドイツのハンブルクで7日開幕する20カ国・地域(G20)サミットでは、北朝鮮問題が主要議題となる。大陸間弾道ミサイル(ICBM)を「レッドライン」としてきた米国が、対北朝鮮で頼みとする中国との首脳会談で連携強化を打ち出せるかが焦点だ。

ただ、米中は貿易面での摩擦も抱える。両国の対立が会談後に鮮明化すれば、北朝鮮に起因する地政学リスクはいっそう高まりかねない。

北朝鮮は4日午後、国営放送を通じ、ICBMの発射実験に成功したと発表した。G20の討議では、貿易や気候変動が主要テーマになるとみられていたが、開幕直前のミサイル発射で「北朝鮮問題の優先順位が一気に上がった」(外務省幹部)格好だ。成果文書には、北朝鮮への非難も盛り込まれる公算が大きい。

米国のヘイリー国連大使は5日、国連安全保障理事会の緊急会合で、北朝鮮による核ミサイル開発計画の阻止に向け「やむを得なければ、(軍事力を)行使する。ただ、その方向に進む必要がないことが望ましい」と述べ、北朝鮮の友好国である中国に対して、一定の影響力行使を求めた。

トランプ米大統領は北朝鮮の発射実験を受け、自身のツイッターに「恐らく中国が北朝鮮に対して厳しい一手を打ち、このような意味のないことをきっぱりと止めさせるだろう」と投稿。

中国への期待感を示す一方で、「中国と北朝鮮の間の貿易は、第1・四半期中に約40%増加した」とも指摘し、懐疑的な見解もあわせて表明した。

米中には貿易を巡る「火種」もある。鉄鋼やアルミニウムの過剰生産を背景に、米国は「通商拡大法232条」の適用をちらつかせている。

安全保障に重大な影響を及ぼすと判断されれば、該当する物資の輸入を制限する制裁措置を発動することが可能だ。

G20の討議でも「鉄鋼の過剰生産能力が議題になる見通し」(欧州当局者)だが、米国が制裁を検討していることには反発の声も強く、議論の紛糾を懸念する声もある。

日本の政府関係者は「ICBMの発射実験に市場はそれほど大きく反応しなかったが、米中首脳会談で亀裂が表面化すれば、北朝鮮の地政学リスクはいっそう意識されかねない」と警戒感を示した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

企業向けサービス価格、11月は3.0%上昇 人件費

ビジネス

元芸人の井村俊哉氏、東大投資サークルOBと公募投信

ビジネス

アップル、グーグル独禁法裁判への介入申請 収益への

ワールド

タイ中銀の次期理事長候補、法制委事務局が不適格と判
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2025
特集:ISSUES 2025
2024年12月31日/2025年1月 7日号(12/24発売)

トランプ2.0/中東&ウクライナ戦争/米経済/中国経済/AI......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    ウクライナの逆襲!国境から1000キロ以上離れたロシアの都市カザンを自爆攻撃
  • 3
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリスマストイが「誇り高く立っている」と話題
  • 4
    9割が生活保護...日雇い労働者の街ではなくなった山…
  • 5
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 6
    「自由に生きたかった」アルミ缶を売り、生計を立て…
  • 7
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 8
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える…
  • 9
    「オメガ3脂肪酸」と「葉物野菜」で腸内環境を改善..…
  • 10
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──ゼレンスキー
  • 4
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医…
  • 5
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達し…
  • 6
    9割が生活保護...日雇い労働者の街ではなくなった山…
  • 7
    ウクライナの逆襲!国境から1000キロ以上離れたロシ…
  • 8
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 9
    【駐日ジョージア大使・特別寄稿】ジョージアでは今、…
  • 10
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 4
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 5
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 6
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 7
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 8
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 9
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
  • 10
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達し…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中