ロンドンのタワーマンション火災 改修計画に「防火壁」はなかった
6月14日、少なくとも12人が犠牲となった大規模火災が発生した英ロンドンの高層マンションでは、改修工事が昨年完了。だが、その改修計画を記した文書には、高層住宅の改修時には使用されるべきだと専門家が主張する防火壁についての言及はなかった(2017年 ロイター/Neil Hall)
少なくとも12人が犠牲となった大規模火災が14日発生した英ロンドンの高層マンションでは、改修工事が昨年完了。だが、その改修計画を記した文書には、高層住宅の改修時には使用されるべきだと専門家が主張する防火壁についての言及はなかった。
ロンドンのケンジントン地区に建つ「グレンフェル・タワー」を管理する地元当局は、改修の一環として、大半の階に建物の外側にはめ込まれた断熱パネルのあいだに防火壁が取り付けられていたかどうかについて確認するのを控えた。
改修を担当した建設会社ライドン・グループも、防火壁が使用されていたかについてコメントしなかった。しかし改修は「順守すべき建築規制、防火法規、安全衛生基準を全て満たしている」と述べた。
「われわれはグレンフェル・タワーの壊滅的な火災に衝撃を受けています。被害を受けた方々にお見舞い申し上げます」との声明を、同社の広報担当者は電子メールで発表した。
建築規制を担当する地方自治省も、そのような防火壁が法律で義務づけられているかどうかについての質問を含むロイターの取材要請に応じなかった。
同省はその後、「出火原因についてコメントするのは適切ではない」との声明を発表した。
法律専門家も、防火壁が法で義務づけられているかについて、意見を表明するのを差し控えた。
ロンドンのケンジントン・アンド・チェルシー王室特別区が2012年に発表した計画文書には、外壁に使用されるパネルや材料を詳細に記した改修図が含まれていた。しかし、ロイターの調査によれば、防火壁については言及されていなかった。
同文書に唯一記されていた新たな外装材は、壁補修材、外装用の亜鉛パネル、そしてポリイソシアヌレートでできた断熱パネルだけだった。