金利低下でも伸び悩む日本不動産株、「静かなバブル」崩壊中
4月27日、日本の長期金利は低下傾向を示しているが、東証REIT指数や大手不動産株が伸び悩んでいる。都内で2月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)
日本の長期金利は低下傾向を示しているが、東証REIT指数<.TREIT>や大手不動産株が伸び悩んでいる。経済原理が素直に反映されれば、低金利は資金調達コストの低下をもたらし、利益採算を向上させるポジティブ材料。しかし、投資家の目には、一部バブル的な不動産市況の悪化や、中長期的な金利上昇見通しなど、この先の「暗雲」が気がかりと映っているようだ。
空室率改善のカラクリ
三鬼商事が公表する東京都心5区のオフィス空室率は、3月末時点で前月比0.10ポイント低下の3.60%と2カ月連続で改善した。しかし、そこには「カラクリ」があるという。
「東京オリンピックを目指した再開発バブルで、再開発のために壊されるビルのテナントが、空いているビルに移っただけ。需要自体は伸びていないから賃料は上昇しない。この先、ビルのスクラップが徐々に減ってくるので、再開発バブルが崩壊に向かっている」と、ドイツ証券・アナリストの大谷洋司氏は指摘する。
ニッセイ基礎研究所と三幸エステートによれば、どの価格水準で契約したかを示す成約賃料は、延床面積1万坪(3万3000平方メートル)以上などの条件を満たす東京都心部大型ビルで、2015年4─6月期の3万5652円/坪(共益費を除く)をピークに頭打ちの状況が続いている。20年7─9月期の2万7684円まで下落基調が続く見通しだ。
足元の不動産市場はバブル当時のような過熱感はみられないが、リスクマネーは流入している。日銀が2月9日に発表した貸出先別貸出金によると、国内金融機関による不動産向け融資は昨年12月末時点で前年比約7%増の70兆3592億円と過去最高を記録した。
不動産経済研究所によれば、2016年の全国新築マンション1戸当たりの平均価格は前年比1.3%減の4560万円。4年ぶりに下落したものの、バブル期に付けた最高価格である4488万円を上回っている。