最新記事

北朝鮮

米中会談、アメリカの目的は中国の北朝鮮「裏の支援」断ち切り

北朝鮮国境に近い中国遼寧省丹東市では対北貿易が盛んで北朝鮮レストランも多い Damir Sagolj-REUTERS

<4月6日からトランプと習近平の首脳会談が行われるが、議題となる北朝鮮問題でアメリカが望むのは、中国に北の核開発を阻止する努力を約束させることばかりではない>

4月6日と7日の両日、アメリカのトランプ大統領と中国の習近平国家主席はフロリダ州のトランプ氏の別荘で初会談を行う。この会談を前に、北朝鮮はまたぞろ中距離弾道ミサイルを発射してみせた。今回の発射はミサイルに核を搭載する技術試験ではないかと目され、北朝鮮が核開発の技術を一層向上させていることが推測される。

今回の米中首脳会談では喫緊の課題として北朝鮮問題が主要な議題となることはまちがいないが、トランプ大統領自身が「非常に難しい」議論になる見込みだとツイートした通り、現時点で米中両国が速やかに一致点を見いだし、「ウィンウィン」の関係になれるとは、到底考えにくい。

では、北朝鮮問題におけるアメリカ側の真の目的とはなにか。なにをもって会談の「成果」とするのだろうか。それは北朝鮮の核開発で中国に対して積極的に制止する努力を約束させることばかりではない。それ以上に重要なことは、中国が暗黙裡に行っている「裏の支援」を断ち切ることにある。

「裏の支援」とは、中国の多数の金融機関や企業が北朝鮮のマネーロンダリングに加担し、北朝鮮の核開発を実質的に支えていることである。この資金源を断ち切れば、北朝鮮は即座に資金に行き詰まり、核実験やミサイル開発がとん挫することは必定だからである。

ブッシュ政権時代には、米国政府は北朝鮮への制裁措置として、マカオのバンコ・デルタ・アジア銀行に金一族が持つ2500万ドルの資産を凍結したことがある。

世界の他の銀行はアメリカの金融システムから排除されることを恐れて北朝鮮との取引を自主的に停止し、北朝鮮は資金繰りに行き詰まり、ミサイル部品の購入などができなくなったことから、米国に措置の解除を懇願した。米国政府はライス国務長官(当時)らの強い要請により、北朝鮮に対して非核化を条件に、2007年、銀行口座の凍結を解除した。

だが、北朝鮮はこの約束を反故にして、今日にいたるまで核実験やミサイル開発をくり返し実施してきた。その間、中国はアメリカの金融システムに依存しない一部の銀行を介して、北朝鮮との金融取引を続行してマネーロンダリングを助長し、北朝鮮への「裏の支援」を行ってきたという経緯がある。

昨年9月、オバマ政権下で、米国政府は中国遼寧省丹東市の貿易会社「遼寧鴻祥実業発展有限公司」と創業者の富豪の女性・馬暁紅ら4人を、北朝鮮の光鮮銀行と組んで核開発のための禁止部品の輸出とマネーロンダリングを行っていたとして刑事告訴し、米財務省の要請でこの公司が中国に持つ25の銀行口座を凍結して、米国企業との取引を禁止した。馬暁紅も中国で逮捕された。

しかしながら、この公司は創業者の逮捕によって看板は外されたものの、未だに地下に潜って活動を続けていると目されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECB高官、トランプ関税は世界経済の安定脅かすと警

ビジネス

英サービスPMI、3月52.5に下方改定 米関税や

ビジネス

アングル:トランプ波乱の中で「光明」か、三菱商の還

ワールド

焦点:米相互関税に政治リスク、中間選挙へ共和党に逆
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 9
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 10
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中