最新記事

原発

ウエスチングハウス破産申請か 東芝に問われる保証責任

2017年3月11日(土)08時46分

3月10日、東芝の米原発子会社、ウエスチングハウス(WH)による米連邦破産法11条の適用申請が避けられないとの見方が広がってきた。写真は東芝のロゴ、都内で2月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

東芝<6502.T>の米原発子会社、ウエスチングハウス(WH)による米連邦破産法11条の適用申請が避けられないとの見方が広がってきた。麻生太郎財務・金融相は10日の閣議後会見で、WHについて3月中に適用申請を決めるべきだとの見解を示した。閣僚が特定企業の破綻処理の可能性に言及するのは異例だ。

東芝の内部事情に詳しい業界関係者も、同条適用申請の可能性が高まっているとの見方を示す。

迫られるギリギリの判断

同11条の適用をWHが申請すれば、親会社としての権利を放棄する代わりに、WHによって追加損失がもたらされるリスクを遮断できる、というのが東芝の考え方だ。東芝は特設注意市場銘柄に指定されており、東証に内部管理体制確認書の提出を求められているが、WHを切り離せば、自社のガバナンス改革をアピールできるとの思惑もある。

すでにWHは、破綻処理に強い法律事務所ワイル・ゴッチェル&マンジスの複数の破産専門弁護士と契約、申請に向けた検討に入っている。WHの内部事情に詳しい業界関係者は「11条適用申請の可能性は高い。WHを東芝から切り離さないと、東芝がつぶれてしまう」と指摘する。

しかし、東芝はWHの債務に対して約8000億円の親会社保証を行っており、WHが同11条による再建プロセスに入ったとしても、東芝自体が巨額の保証の履行を迫られる事態は避けられないと、一部の会計専門家は指摘する。その場合、東芝の経営に深刻な影響が及ぶリスクを払拭できない可能性もある。

決算発表が遅れれば、上場廃止の懸念

東芝は先月14日、WHが米国で進める原発4基の建設をめぐり7125億円の損失計上を発表。当日は2016年度第3四半期決算を発表する予定だったが、WHでの内部統制の不備の可能性により決算発表を延期した。

関東財務局への四半期報告書の提出期限は今月14日だが、予定通り決算発表ができるかどうかは「五分五分」(幹部)の情勢との見方が多い。この期限までに決算発表が出来ず、同財務局が延長を認めない場合、今月27日には東芝の東証上場が廃止になるという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 9
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    大麻は脳にどのような影響を及ぼすのか...? 高濃度の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中