最新記事

ブレグジット

ハードブレグジットなら英国金融機関と社員流出 経済弱体化も

2017年3月7日(火)10時41分

 3月6日、法律事務所のフレッシュフィールズ・ブルックハウス・デリンガーは、英国の欧州連合(EU)離脱に関する報告書のドラフトで、同国がEU市場へのアクセスを失った場合、金融機関や社員が流出し、国内経済全般が弱体化する可能性があるとの見解を示した。写真は金融機関が集まるロンドンのカナリー・ワーフ。昨年2月撮影(2017年 ロイター/Hannah McKay)

法律事務所のフレッシュフィールズ・ブルックハウス・デリンガーは、英国の欧州連合(EU)離脱に関する報告書のドラフトで、同国がEU市場へのアクセスを失った場合、金融機関や社員が流出し、国内経済全般が弱体化する可能性があるとの見解を示した。文書を確認した関係筋が明らかにした。

報告書は金融部門のロビー団体「ザ・シティUK」向けにまとめられたもので、月内にも公表される見通し。

関係筋によると各企業は、EU離脱が欧州単一市場へのアクセスを失う「ハードブレグジット」となった場合の「基本ケースシナリオ」をすでに適用しつつあるもよう。報告書は、英金融サービス会社がEUとの直接事業を手掛けているかどうかにかかわらず、ハードブレグジットなどによる金融や法律、会計サービスの「エコシステム」に対する悪影響が及ぶとの結論付けた。

さらに、金融業が弱体化することで英国の広範な「引力」は弱まり、経済の他の部分も打撃を被る可能性があると指摘した。

イングランド銀行(英中央銀行、BOE)は、英国の金融エコシステムを大陸欧州にも構築することは難しいとみているが、今回の報告書はこれより厳しい見方を提示していることになる。

ザ・シティUKは、フレッシュフィールズに報告書作成を依頼したことは事実だが、完成はしておらず、結論を決め付けるのは早すぎると述べた。フレッシュフィールズはコメントを控えた。

[ロンドン 6日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:戦闘員数千人失ったヒズボラ、立て直しには膨大

ビジネス

NY外為市場=円が対ドルで6週間ぶり高値、日銀利上

ワールド

ゼレンスキー氏、陸軍司令官を新たに任命 内部改革の

ワールド

ヒズボラ指導者カセム師、停戦履行でレバノン軍との連
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老けない食べ方の科学
特集:老けない食べ方の科学
2024年12月 3日号(11/26発売)

脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす──最新研究に学ぶ「最強の食事法」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    BMI改善も可能? リンゴ酢の潜在力を示す研究結果
  • 2
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える新型ドローン・システム
  • 3
    エスカレートする核トーク、米主要都市に落ちた場合の被害規模は想像を絶する
  • 4
    バルト海の海底ケーブルは海底に下ろした錨を引きず…
  • 5
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖…
  • 6
    バルト海の海底ケーブル切断は中国船の破壊工作か
  • 7
    ペットの犬がヒョウに襲われ...監視カメラが記録した…
  • 8
    定説「赤身肉は心臓に悪い」は「誤解」、本当の悪者…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    黒煙が夜空にとめどなく...ロシアのミサイル工場がウ…
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳からでも間に合う【最新研究】
  • 4
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 5
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 6
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式ト…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 9
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖…
  • 10
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中