最新記事

映画

アカデミー賞を取り損ねた名優、名子役、名監督......

2017年2月27日(月)16時24分
スタブ・ジブ

昨年初めてオスカーを手にしたディカプリオ Mario Anzuoni--REUTERS

<何度もノミネートされ、受賞確実とされながら、そのたびに選にもれる不運な人たち>

第89回アカデミー賞では、最有力候補と見られたミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』が作品賞を逃すというサプライズがあった。アカデミー賞の歴史には、こうした逆転劇が少なくない。今度こそと言われながら何度も賞を逃している俳優や監督も多い。振り返ってみると、ことごとく強敵とぶつかって敗れる不幸な例も。

『ラ・ラ・ランド』の色鮮やかな魔法にかけられて

■レオナルド・ディカプリオ

ディカプリオが昨年まで「アカデミー無冠」だったのは有名な話。昨年の『レヴェナント 蘇りし者』でオスカーを受賞するまでの実に22年間、何度も煮え湯を飲まさた。1994年の『ギルバート・グレイプ』(助演男優賞)に始まり、映画史に残る大ヒット作『タイタニック』、『アビエイター』、『ブラッド・ダイヤモンド』、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』と次々に落とした末の受賞だ。

■ピーター・オトゥール

なぜかスルーされてしまった俳優の筆頭格。部隊出身の名優おトゥールは『アラビアのロレンス』で主演男優賞にノミネートされたが、グレゴリー・ペックの『アラバマ物語』に敗れる。1960年~2007年の間にさらに8回、主演男優賞候補にノミネートされたが、2003年に名誉賞を授与された以外、一度もオスカーを獲ることなく2013年、この世を去った。

■ジュディ・ガーランド

『オズの魔法使い』のドロシーを演じた名子役として有名。だがこの役では1940年に特別賞や子役賞で小さいサイズのオスカーをもらっただけで、フルサイズのオスカーはもらえなかった。その後『スタア誕生』や『ニュールンベルグ裁判』でもノミネートされたが、『喝采』のグレイス・ケリーや「ウエストサイド・ストーリー」のリタ・モレノに賞を奪われた。

■アルフレッド・ヒッチコック

伝説的な映画監督ヒッチコックは、『レベッカ』、『救命艇』、『白い恐怖』、『裏窓』、『サイコ』で5度、監督賞にノミネートされたが、受賞は一度もなかった。賞に近づくたびに、『波止場』のエリア・カザン、『失われた週末』と『アパートの鍵貸します』のビリー・ワイルダーなどの強敵に出し抜かれた。ヒッチコックは最後に、映画界に貢献した映画監督に与えられるアカデミー賞、アービング・G・タルバーグ賞を受賞したが、残念賞止まりで終わった。

■グレン・クローズ

その演技力で6回、ノミネートされている。『ガープの世界』『再開の時』『ザ・ナチュラル』で助演女優賞候補、『危険な情事』『危険な関係』『アルバート氏の人生』で主演女優賞候補になったが、オスカーは一度も手にしていない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国は以前よりインフレに脆弱=リッチモンド連銀総裁

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ空軍が発表 2人負

ビジネス

大手IT企業のデジタル決済サービス監督へ、米当局が

ビジネス

独VW、リストラ策巡り3回目の労使交渉 合意なけれ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「ワークライフバランス不要論」で炎上...若手起業家、9時〜23時勤務を当然と語り批判殺到
  • 4
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 8
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 9
    クリミアでロシア黒海艦隊の司令官が「爆殺」、運転…
  • 10
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶり…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中