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貿易トランプ政権の通商会議トップ「過小評価のユーロでドイツが利得」
1月31日、米通商会議トップは、ドイツは「過小評価が著しい」ユーロを利用し、有利な立場を得ているとの見解を示した。写真はユーロの看板。フランクフルトで2015年1月撮影(2017年 ロイター/Kai Pfaffenbach)
トランプ米大統領が新設した「国家通商会議」の責任者であるピーター・ナバロ氏は、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)に対し、ドイツは「過小評価が著しい」ユーロを利用することで米国や欧州連合(EU)の貿易相手国よりも有利な立場を得ている、との見解を示した。
同氏はユーロについて「暗黙のドイツマルク」のような存在であり、過小評価されていることで、ドイツに主要貿易相手国に対する競争上の優位性を与えていると指摘した。
米国とEUが合意を目指してきた環大西洋貿易投資協定(TTIP)について、ドイツが大きな障害となっているとの見解を示し、TTIP協議は終わったと述べた。
ナバロ氏の発言が伝わると、ユーロ/ドルは0.5%高の1.0764ドルに上昇した。
ナバロ氏は対中強硬派として知られ、米製造業の復興を目指すトランプ氏が国家通商会議をホワイトハウスに新設し、政権入りさせた経緯がある。
トランプ氏自身も2週間前の米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで、人民元に対するドル高が米国に大きな打撃を与えているとの見解を示していた。トランプ氏に続くナバロ氏の発言で、国際貿易の行方をめぐり一段と懸念が強まる可能性がある。
一方、メルケル独首相は「ドイツは欧州中央銀行(ECB)に独立した金融政策運営を行うよう求めてきた」として、ナバロ氏の発言を退けた。その上で「ECBの行動に影響を及ぼすことはしない。状況を変えることはできないし、望んでもいない」とした。
ドイツ財務省はコメントを控えた。
みずほ(ロンドン)のヘッジファンド為替セールス責任者、ニール・ジョーンズ氏は「強いドル政策の時代は終わった」とし、「人民元に対するドル高をめぐる米国の懸念は、過小評価が著しいとのコメントでユーロ圏にも及んでいる」と話した。