最新記事

米大統領

トランプに健康問題はないのか? 大統領の健康はどのみちトップシークレット

2017年1月26日(木)13時30分
マーク・シーゲル(ニューヨーク大学医学大学院教授)

Drew Angerer/GETTY IMAGES

<アメリカには歴代大統領の健康状態が覆い隠されてきた長い歴史がある>(写真:トランプ新大統領の健康状態を外部から窺い知ることはできない)

 米史上最高齢の70歳で就任したトランプ大統領。健康に問題はないのだろうか。彼の主治医によれば、トランプは血圧も正常で大きな病歴もなく、心疾患の予防にリピトールとアスピリンを服用している。運動やダイエット、規則正しい睡眠の習慣はないようだが、おおむね健康状態は良好といえそうだ。

 アメリカの高齢男性に多い疾患は心臓病と癌だが、トランプはどちらも無縁。在任中にほかの病気を患ったとしても、医療チームが迅速に対応するだろう。

 ただし、そんな事態が起こったとき、国民に公表される可能性は低い。アメリカには大統領の健康状態が覆い隠されてきた長い歴史がある。

【参考記事】トランプの「嘘」一覧(就任~1月24日)

 1981年には当時70歳のレーガンが銃撃され重傷を負ったが、国民には彼が死にかけたことなど知らされなかった。アイゼンハワーは55年、65歳直前で心筋梗塞に。米史上最年少で就任したケネディも、慢性疾患のアジソン病を患っていたが、公表されることはなかった。

 レーガン後の大統領は皆、比較的健康だったようだ(その情報も、ほとんどは退任後に公になった)。父ブッシュには甲状腺疾患と不整脈があったが、それ以外は元気だった。クリントンはジャンクフード好きで有名だったが、心臓病を患ったのは退任後だった。息子ブッシュは運動熱心で、健康状態は最高。オバマは就任前に禁煙し、体形も運動習慣も維持し続けた。

 そして、トランプだ。飲酒も喫煙もせず、服用している薬も心疾患予防には効果的。現代では平均寿命も延びているし、体に負担の少ない治療法も豊富だ。

 私からトランプに処方箋を出すとすれば、もっと睡眠を取り、食事に気を配り、運動習慣を付けて体重を減らすこと。だがたとえ彼の健康に問題が生じたとしても、絶えず目を光らせているメディアですら、少なくともすぐにはその実態をつかめないだろう。大統領の健康問題はトップシークレット――それがアメリカの伝統なのだから。

© 2017, Slate

[2017年1月31日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

豪3月住宅価格は過去最高、4年ぶり利下げ受け=コア

ビジネス

アーム設計のデータセンター用CPU、年末にシェア5

ビジネス

米ブラックロックCEO、保護主義台頭に警鐘 「二極

ワールド

ガザの砂地から救助隊15人の遺体回収、国連がイスラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中