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朴大統領、検察聴取に応じぬまま国政に復帰 今日再び大規模デモ

2016年11月19日(土)00時59分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

 朴大統領は、国政運営を再開するのとは対照的に、検察の取り調べには最大限時間を稼ぐ戦略を駆使している。 朴大統領側の弁護人を務めているユ・ヨンハ弁護士は「最大限急いで弁論準備を終えた後、来週には大統領に対する調査ができるように協力したい」と明らかにした。このように朴大統領が検察の取り調べには最大限延ばしながらも、急いで国政に復帰したところから、長期戦を念頭に置いて保守層の再結集効果を期待した布石だという分析が出ている。 場外闘争に乗り出した野党と違って、国政の主体としての役割を完全に遂行することによって政局を収拾する意志を見せて、支持率回復させようとする戦略という意味だ。
 さらには野党に向かって、政権退陣運動も、国政運営には何の問題がないという点を誇示することで、逆に野党を圧迫しようとする意図ももっていると推測されている。

 こうした状況を見逃している野党の不甲斐なさも、問題を長期化させている一端といわれる。なかでも、野党第一党のともに民主チュ・ミエ代表は14日に朴大統領との単独会談を提案して大統領府から承諾を取り付けたにもかかわらず、事前に党内外への根回しをしていなかったために他の野党側から一斉に反発を受けて、1日もしないうちに提案を撤回。さらに今日午前には党内の会合で「朴大統領は最終的に戒厳令までも準備しているという情報も流れています。 実に残忍な大統領です」と発言。すぐに大統領府から「野党第一党の責任ある指導者が言うには、あまりにも無責任な政治的扇動だ。今後さらに社会の混乱を煽るような発言は控えていただきたい」と反論されるなど、その言動が事態を更に混乱させることから、政権交代を任せるのはためらわれるような状況だ。野党3党代表がチェ・スンシル国政介入疑惑対策の会談を行っても目立った成果を出せないまま物別れに終わるなど、来年の大統領選挙と政局の主導権をめぐり同床異夢の野党のおかげで、朴大統領が、ある程度自信を回復したという分析も出ている。

参考記事:朴槿恵にとどめを刺せない韓国左派の事情

 しかし、朴大統領がこれ以上一連の疑惑に対する収拾策を打ち出さず、何事もなかったように国政の再開に乗り出したことにより、批判の声はさらに高まる見通しだ。 実際、18日、韓国ギャラップ世論調査で、朴大統領の支持率は5%と歴代大統領の中で最低水準に3週連続でとどまった。

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