ベトナムが南シナ海に移動式ロケット発射台配備、「正当な権利である」
8月10日、ベトナムが、領有権問題が生じている南シナ海の複数の島でひそかに武装化を進めている。複数の西側当局者によると、同海域で中国が設置した滑走路や軍関係施設・設備を攻撃できる移動式のロケット発射台を新たに配備したという。写真は中国の国旗。北京で昨年10月撮影(2016年 ロイター/Kim Kyung Hoon)
ベトナムが、領有権問題が生じている南シナ海の複数の島でひそかに武装化を進めている。複数の西側当局者によると、同海域で中国が設置した滑走路や軍関係施設・設備を攻撃できる移動式のロケット弾発射台を新たに配備したという。実効支配を進める中国との緊張が高まる可能性がある。
複数の外交筋や軍当局者が、情報機関が入手した情報として明らかにしたところによると、ベトナムはここ数カ月間に、ロケット弾発射台を南シナ海の南沙諸島(スプラトリー諸島)の5拠点に送った。発射台は空からは見えないようになっており、ミサイルはまだ設置されていないが、2─3日で態勢を整えることが可能という。
ベトナム外務省は、詳細には踏み込まず、情報は「不正確」と述べた。
6月、ベトナム国防省のNguyen Chi Vinh次官はロイターに対し、スプラトリー諸島に発射台や武器を配備してはいないが、そのような措置を講じる権利はある、と語っていた。
同次官は「われわれの主権の及ぶ領域内で、いつどこにでもいかなる武器を動かそうとも、それは自衛のためのわれわれの正当な権利である」と話した。
ベトナムのロケット発射台配備は、スプラトリー諸島で中国が造成する7つの人工島の設備増強に対抗することが狙い。ベトナム軍の戦略担当は、中国による滑走路建設やレーダー設置などにより、ベトナム南部および島の防衛が脆弱になることを懸念している。
軍事アナリストは、今回のベトナムの動きがここ何十年もの間で、南シナ海における最も大きな防衛行動と指摘している。
フィリピンがオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所に提訴した裁判で、中国の主張を否定する裁定が下され、緊張の高まりが予想されるなか、ベトナムはロケット弾発射台の配備を必要としていたと、外交筋は語る。