最新記事

英EU離脱

イギリスEU離脱を受け不動産ファンドの混乱拡大、解約停止7社に増加

2016年7月7日(木)10時22分

7月6日、英不動産ファンドの解約を停止する動きが止まらない。英国民投票以降、解約を停止した資産運用会社は7社となった。ロンドンの金融街で6月撮影(2016年 ロイター/RUSSELL BOYCE)

英不動産ファンドの解約を停止する動きが止まらない。欧州連合(EU)離脱を決めた6月23日の英国民投票以降、解約を停止した資産運用会社は6日までに7社となり、金額としては180億ポンド(230億ドル)と2008年の金融危機以降で最大となっている。

ヘンダーソン・グループ傘下のヘンダーソン・グローバル・インベスターズは6日、英不動産PAIFファンドとフィーダーファンド39億ポンドの解約を一時停止すると発表。「異常な流動性圧力」が理由と説明した。

その後、アメリプライズ・グループ傘下のコロンビア・スレッドニードルがスレッドニードル英不動産ファンドの解約を停止したほか、カナダ・ライフは不動産ファンドと英不動産ファンドの解約を停止した上で「これは解約の延期で、期間は最大6カ月となる可能性がある」とした。

4日と5日には、スタンダード・ライフ傘下のスタンダード・ライフ・インベストメンツ、アヴィヴァ傘下のアヴィヴァ・インベスターズ、プルーデンシャル傘下のM&Gインベストメンツが解約を停止。またブラックロックは前週、英不動産ファンドの償還手数料を引き上げている。

また、アバディーン・アセット・マネジメントは6日遅くに、一時的に英不動産ファンドの取引を停止すると発表した。

商業不動産の評価損が銀行に及ぼす影響を懸念する声もあるが、過去5年の銀行のエクスポージャーは比較的小さく、むしろシャドーバンキングセクターへの影響が懸念されるとアナリストは指摘する。

デモントフォート大学の試算では、2015年末時点で1830億ポンドだった商業不動産ローン市場のうち、英銀行のエクスポージャーは約900億ポンドだった。

メディオバンカ・セキュリティーズによると、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)のエクスポージャーが250億ポンドと一番大きいが、同行資産に占める割合は5%だった。続いて、ロイズ・バンキング・グループが180億ポンド(資産の2%)、バークレイズが110億ポンド(同1%)となっている。

銀行は不動産ローンへのエクスポージャーを縮小し、資本増強を進めたことから、不動産価格が下落しても2008年よりも持ちこたえることができると当局は指摘している。



[ロンドン 6日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アルゼンチンがWHO脱退へ、「深い相違」と説明 米

ビジネス

米ISM非製造業総合指数、1月52.8に低下 需要

ワールド

米郵政公社、中国小包の受け取り継続へ 一時停止から

ビジネス

米1月ADP民間雇用、18.3万人増 予想上回る
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国経済ピークアウト
特集:中国経済ピークアウト
2025年2月11日号(2/ 4発売)

AIやEVは輝き、バブル崩壊と需要減が影を落とす。中国「14億経済」の現在地と未来図を読む

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 2
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギー不足を補う「ある食品」で賢い選択を
  • 3
    教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度
  • 4
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    マイクロプラスチックが「脳の血流」を長期間にわた…
  • 7
    【USAID】トランプ=マスクが援助を凍結した国々のリ…
  • 8
    AIやEVが輝く一方で、バブルや不況の影が広がる.....…
  • 9
    「僕は飛行機を遅らせた...」離陸直前に翼の部品が外…
  • 10
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 6
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 7
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 8
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギ…
  • 9
    老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌…
  • 10
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中