フロリダ銃乱射事件から1週間、生存者が惨劇の一部始終を語った
6月15日、米国の現代史上最悪となったフロリダ州オーランドの銃乱射事件では49人が犠牲となり、実行犯も射殺された。生存者が同性愛者のナイトクラブで起こった恐るべき惨劇の一部始終を語った。写真は12日、事件現場を捜索する警察官(2016年 ロイター/Jim Young)
ペイシャンス・カーターさんは、もう何時間もトイレの個室の床に横たわっていた。右の太股に銃弾を受けていたが、友人や見知らぬ人が彼女の上にのしかかっており、身動きが取れない。
米フロリダ州オーランドのナイトクラブ「パルス」で発生した銃乱射から、彼らは皆必死になって逃れ、同じ袋小路に追い込まれていた。20歳のカーターさんには、歩き回るオマル・マティーン容疑者の足が見えた。人質解放の交渉担当者に対して、同容疑者が、米国が行ったアフガニスタン空爆への非難や、イスラム主義武装グループへの忠誠を叫ぶのも聞こえていた。
そして、警察が外で叫んでいる声が聞こえた。「壁から離れろ。壁から離れろ」。マティーン容疑者の足がトイレの個室に向かって下がってくる。
「トイレの床に伏せていた誰かに『おい、お前!』と呼び掛け、1人、また1人と撃っていった」とカーターさんは、「バン、バン、バン」という銃声を口まねしつつ、その時の記憶を語った。
日曜日の夜明け近く、マティーン容疑者が同性愛者に人気のダンススポットに残忍な襲撃を仕掛けてから、すでに3時間が経過していた。
まもなくして、警察が壁を破壊して突入した。
「警察は容疑者に『武器を捨てろ、武器を捨てろ』と叫んだ。従わなかったので、警察は銃撃を始めた。命中し、彼は射殺された」とカーターさんは言う。
米国の現代史上最悪となった乱射事件から数日が経過し、49人が犠牲となり、実行犯も射殺されるという、恐るべき惨劇を語る生存者の談話が伝えられはじめている。彼らの話からは、恐怖と絶望の状況、時に手際のよい殺りく、さらには困難で長い時間を要した救出劇の様子が明らかになっている。