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金融イギリスがEU離脱するとロンドンの金融機関が「パスポート」失効
6月15日、英国が来週に実施する国民投票でEUからの離脱を決めれば、ロンドンに拠点を構える銀行や金融機関は英国がEUに属することによって浴している恩恵を失うことになる。写真は投票用紙。1日撮影(2016年 ロイター/Russell Boyce)
英国が来週に実施する国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決めれば、ロンドンに拠点を構える銀行や金融機関は英国がEUに属することによって浴している恩恵を失うことになる。
業界関係者や欧州当局者らによると、パスポーティングとして知られる制度の下、低コストでEU中にサービスを提供できる権利や単一のルールを背景に、ロンドンは世界最大の金融センターとしてニューヨークと張り合っている。
サパン仏財務相はこれについて、「(英国が離脱を決めれば)『パスポート』はなくなる」とロイターに語った。金融サービスで自由なアクセスを維持するには高額の費用を支払わなければならなくなる。
ドイツ、フランス、ルクセンブルク、アイルランドはいずれも投資銀行、清算・決済、資金管理といった分野でロンドンから事業を引き揚げようとするだろう。
銀行業界団体AFMEは報告書で「多くの英銀行および投資会社の主な懸念は、英国のEU離脱によって『パスポート』からこれ以上恩恵を受けることができなくなり、EU非加盟国の企業と同じ規制に従わなければならなくなることだ」とした。
こうした影響は欧州本社をロンドンに置く米国や日本といった欧州以外の銀行で顕著となりそうだ。多くは既に、英国がEU離脱となれば欧州での一部事業をあきらめたり、欧州本社をユーロ圏内に移したりすることを検討している。