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国債ECB量的緩和、5月は仏独など主要国国債を規定以上に購入
6月6日、ECBが5月に仏独伊などの国債を規定以上買い入れる一方、規模の小さい国の国債買い入れ額は規定を下回っていることが分かった。写真はECB本部、昨年9月撮影。(2016年 ロイター/Ralph Orlowski)
6日公表のデータから、欧州中央銀行(ECB)が5月に仏独伊などユーロ圏主要国の国債を規定以上買い入れる一方、ポルトガルやスロバキアなどより規模の小さい国の国債買い入れ額は規定を下回っていることが分かった。
ECBは3月の理事会で、月間の買い入れ額を800億ユーロ(908億6000万ドル)に引き上げることを決定しており、ECB自らが定めた規定に抵触せずに買い入れ規模を拡大することの困難さを浮き彫りにした。規模の小さい国が主要国と同様の恩恵を受けられないリスクが高まっている。
ECBはユーロ圏加盟国の出資比率に応じて資産買い入れを行うが、5月に買い入れたドイツ、イタリア、フランス、スペイン国債の規模はいずれも各国の出資比率を上回った。
一方、ポルトガル、スロバキア、スロベニア、アイルランド国債の買い入れ規模は出資比率を大きく下回った。キプロスは国際支援の脱却に伴い、資産買い入れプログラムの対象から最近除外された。
ただ、アイルランドとポルトガルについては、国別の買い入れ額を発行残高の3分の1までとする上限に近づきつつあるため、ペースを減速させた。過去の危機対策で国債を大量に買い入れていることが背景にあるという。
関係筋が前月明らかにしたところによると、ECBと買い入れを担当しているユーロ圏各国の中銀は、アイルランドとポルトガル国債の代わりに、欧州投資銀行(EIB)など、超国家的な機関の債券を買い入れているもようだ。
こうした超国家的な債券の買い入れ額は3月の64億ユーロから4月には87億ユーロに増加、5月は77億ユーロとなっている。