最新記事

人権問題

「現代の奴隷」世界で4600万人、日本も29万人が奴隷状態

2016年6月1日(水)19時39分

5月31日、オーストラリアの人権団体は、「現代の奴隷」としての生活を余儀なくされている人が、世界中で約4600万人に上ると発表した。写真は、報告書発表会で司会を務めた俳優のラッセル・クロウさん。ロンドンで撮影(2016年 トムソン・ロイター財団/Shanshan Chen)

 オーストラリアの人権団体は31日、「現代の奴隷」としての生活を余儀なくされている人が、世界中で約4600万人に上ると発表した。最も奴隷の数が多かったのはインドで、人口比率では北朝鮮が最も高かった。日本は数で25位、人口比率では41位だった。

 人権団体「ウォーク・フリー・ファンデーション」は3年前から、生まれながらにして奴隷状態にある人や性労働のため人身売買された人、強制労働者など、各国の奴隷状況や政府の取り組みを調査した報告書を発表している。

 167カ国を対象に、毎年ランダムにサンプルを抽出して推定値を引き出している。2016年版は25カ国、53の言語で、米世論調査会社ギャラップが約4万2000人に行ったインタビューに基づいている。

 それによると、奴隷の数は4580万人に上り、2014年の3580万人から増加。このように30%近く増加したことについて、同団体の設立者であるアンドリュー・フォレスト氏は、データ収集が改善したことを挙げた。そのうえで、難民などにより状況は悪化しており、あらゆる形態の奴隷リスクが高まっていることを懸念しているという。

 今年の報告書発表会で司会を務めた俳優ラッセル・クロウさんは「俳優として、ありのままの感情を表現することも自分の仕事のうちだが、今日発表された報告書にある人々の生活と比べられるものなど何もない。これを読んで受けたショックを放置してはいけない」と語った。

 報告書によると、奴隷の数ではインドが最も多く、推定1840万人。2番目に多いのは中国の同340万人。パキスタンが同210万人でそれに続いた。

 全体の約58%は、インド、中国、パキスタン、バングラデシュ、ウズベキスタンの5カ国で占められ、約15%がサハラ以南のアフリカで占められていた。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

中国が南シナ海の鉄線礁を「統制下に」と主張、フィリ

ビジネス

TDK、26年3月期営業益予想は0.4%増 リスク

ビジネス

日経平均は4日続伸し一時3万6000円回復、米中摩

ワールド

プーチン氏、北朝鮮の協力に「心から感謝」 クルスク
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    体を治癒させる「カーニボア(肉食)ダイエット」と…
  • 7
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 8
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 7
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 8
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 10
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中