最新記事

インド

お見合い大国インドに同性婚の仲介サイト

同性愛が認められていないインドで「アレンジド・ゲイマリッジ」が注目を集めている理由

2016年5月16日(月)16時00分
ニミシャ・ジャイスワル

生涯の相手を求めて 時代遅れにも思えるお見合いの要素を取り入れている The Arranged Gay Marriage (Screengrab)

 しきたりとしての「お見合い」が、ビジネスとしての「婚活」に取って代わられるのは世の成り行き。いまだに見合い婚が常識とされ、家のカーストや社会的地位、学歴などに見合った相手を選ぶのは、子に対する親の権利であり責任でもあるとされるインドにも変化の波は訪れている。

 伴侶探しの責を担うのはもはや村社会の世話役ではない。新聞の結婚相手募集広告であり、インターネットの婚活サイトやアプリだ。

 おかげで同性愛者にもパートナー探しのツールができた。インド系アメリカ人がアメリカで立ち上げた同性婚仲介専門サイト「アレンジド・ゲイマリッジ」だ。インドはまだ同性婚を認めていないが、「アメリカの同性婚合法化は私たちにとっても大きな一歩だった」と創業者のジョシュア・サムソンは言う。「インドには膨大な数の隠れ同性愛者がいる。彼ら、彼女らに少しでも希望の光を届けたい」

【参考記事】同性カップルの子が学校に通う社会という未来に向けて

 本来の目的は、インド系アメリカ人の同性愛者にインド人の配偶者を紹介すること。しかし始めてみたら、インド人同士の例も多かったという。インドには今も「自然の摂理に反した」すべての性行為を禁ずる植民地時代の法律が残っていて、同性間の性行為は犯罪になる。その一方で、同性間の共同生活を禁ずる法律はない。

 昨年11月のサービス開始以来、約300件の申し込みがあった。だが、正式に契約したのは25件ほどにとどまる。冷やかしや悪質な申し込みは排除しているからだ。

周囲の理解を得るために

 性的少数者の権利擁護を訴えるムンバイの活動家ハリシュ・アイヤルに言わせると、同性の配偶者探しに違法性はない。同性間の共同生活が即「不自然な性行為」につながるわけではないし、具体的に同性婚を禁ずる法律もないからだ。

 昨年、彼の母は息子の「夫」を募集する新聞広告を出した。反響は大きかったが、「母は独り身の私を心配しているだけ。別に政治的な発言のつもりはなかった」と、アイヤルは言う。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ発表 初の実戦使用

ワールド

国際刑事裁判所、イスラエル首相らに逮捕状 戦争犯罪

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部の民家空爆 犠牲者多数

ビジネス

米国は以前よりインフレに脆弱=リッチモンド連銀総裁
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 2
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 5
    「ワークライフバランス不要論」で炎上...若手起業家…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 8
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 9
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 10
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶり…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中