お見合い大国インドに同性婚の仲介サイト
同性愛が認められていないインドで「アレンジド・ゲイマリッジ」が注目を集めている理由
生涯の相手を求めて 時代遅れにも思えるお見合いの要素を取り入れている The Arranged Gay Marriage (Screengrab)
しきたりとしての「お見合い」が、ビジネスとしての「婚活」に取って代わられるのは世の成り行き。いまだに見合い婚が常識とされ、家のカーストや社会的地位、学歴などに見合った相手を選ぶのは、子に対する親の権利であり責任でもあるとされるインドにも変化の波は訪れている。
伴侶探しの責を担うのはもはや村社会の世話役ではない。新聞の結婚相手募集広告であり、インターネットの婚活サイトやアプリだ。
おかげで同性愛者にもパートナー探しのツールができた。インド系アメリカ人がアメリカで立ち上げた同性婚仲介専門サイト「アレンジド・ゲイマリッジ」だ。インドはまだ同性婚を認めていないが、「アメリカの同性婚合法化は私たちにとっても大きな一歩だった」と創業者のジョシュア・サムソンは言う。「インドには膨大な数の隠れ同性愛者がいる。彼ら、彼女らに少しでも希望の光を届けたい」
【参考記事】同性カップルの子が学校に通う社会という未来に向けて
本来の目的は、インド系アメリカ人の同性愛者にインド人の配偶者を紹介すること。しかし始めてみたら、インド人同士の例も多かったという。インドには今も「自然の摂理に反した」すべての性行為を禁ずる植民地時代の法律が残っていて、同性間の性行為は犯罪になる。その一方で、同性間の共同生活を禁ずる法律はない。
昨年11月のサービス開始以来、約300件の申し込みがあった。だが、正式に契約したのは25件ほどにとどまる。冷やかしや悪質な申し込みは排除しているからだ。
周囲の理解を得るために
性的少数者の権利擁護を訴えるムンバイの活動家ハリシュ・アイヤルに言わせると、同性の配偶者探しに違法性はない。同性間の共同生活が即「不自然な性行為」につながるわけではないし、具体的に同性婚を禁ずる法律もないからだ。
昨年、彼の母は息子の「夫」を募集する新聞広告を出した。反響は大きかったが、「母は独り身の私を心配しているだけ。別に政治的な発言のつもりはなかった」と、アイヤルは言う。