最新記事

ロシア

クリミア「編入」を疑問視すれば過激派とみなす

クリミア併合から2年、法執行機関高官からの警告はロシアが手を焼いていることの裏返しか

2016年4月21日(木)18時45分
デイミアン・シャルコフ

既成事実化 クリミアの「帰郷」1周年を祝うプーチン大統領(昨年3月18日) Maxim Zmeyev-REUTERS

 ロシア法執行機関の最高幹部のひとりは、ロシアのクリミア「編入」を決めた住民投票を否定することは過激主義に等しい犯罪だと発言した。

 ロシアは2014年、ウクライナの領土だったクリミアを併合した。ロシアの特殊作戦部隊と思われる完全武装の戦闘員たちが政府庁舎を占拠したのだ。クリミアの親ロシア派はその後、ロシア編入の賛否を問う住民投票を強行。クリミアはロシア連邦に組み込まれることになった。

【参考記事】クリミア併合に猛進した「激情家」プーチン

 ロシア連邦捜査委員会のアレクサンドル・バストルイキン委員長によれば、住民投票の正当性を疑問視することは「歴史的な出来事・事実の記録を改ざんする過激主義的な活動」に等しい。

 日刊紙「コメルサント」に寄せたコラムで彼は次のように書いている。「(ロシア編入は)クリミアの住民が法に則って意思表示をした結果だ。これによってクリミアの全住民は永久にロシア憲法の一部になった」

 クリミアの地位は「刑事的手段も含む特別の法的保護に値する」。

ウクライナ人やタタール人の抵抗は続く

 フランスはアルメニア人虐殺の否定を禁止する法案を可決し、イスラエルはホロコーストを否定することを犯罪としたように、「重要な史実改ざん」は他国でも犯罪とされてきた、とバストルイキンは記す。

【参考記事】併合1周年クリミアの惨状

 ロシアの独立系調査組織「レバダ・センター」が今月行った世論調査によると、ロシア人の大多数がクリミアをロシアの領土と見なしている。およそ87パーセントが「クリミアはロシアの一部であるべきだ」と回答、64パーセントは「クリミアは昔からずっとロシアの領土だった」と考えている

 だがクリミアのウクライナ人やイスラム教徒のクリミア・タタール人は、ロシア編入に抗議。活動家たちはウクライナ本土とクリミア半島を結ぶ貨物輸送の封鎖を続けている。

 ロシアとクリミアを直接結ぶ陸路はないため、現在、電線路と道路橋の建設が進められている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米2月の貿易赤字、4.9%増加 輸出過去最高も輸入

ビジネス

米新規失業保険申請、9000件減の20.2万件 一

ビジネス

米国株式市場・序盤=急反落、ダウ650ドル安 イラ

ビジネス

エネ市場の緊張が金融安定に及ぼす影響を懸念=イタリ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イラン恐怖」の正体
  • 3
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経済政策と石油危機が奏でる「最悪なハーモニー」
  • 4
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 5
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 6
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 7
    北京に代わる新都市構想は絵に描いた餅のまま...大幅…
  • 8
    カンヌ映画祭最高賞『シンプル・アクシデント』独占…
  • 9
    「え、なんで?」フライト中に操縦席の窓が覆われて…
  • 10
    破産申請の理由の4割以上が「関税コスト」...トラン…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 10
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中