機密のベールを脱いだ北朝鮮の核開発プログラム、情報開示の真意は?
「北朝鮮脅威論」の神話を国内外に作りあげるプロパガンダの一環か
4月12日、北朝鮮は国際社会からの制裁にもかかわらず、長距離核ミサイルの開発を推進する姿勢を誇示している。写真は北朝鮮国内の機械工場を視察する金正恩第1書記。写真はKCNAが4月提供(2016年 ロイター)
北朝鮮は5月に開催する異例の労働党大会に先立ち、兵器開発計画の詳細を初めて公開した。国際社会からの制裁にもかかわらず、長距離核ミサイルの開発を推進する姿勢を誇示している。
最近まで北朝鮮の武器計画についての情報は入手することが困難だった。外国政府や専門家はこれまで、衛星写真や核実験後に収集された極微量の原子の粒子、さらには長距離ロケットの発射後に回収された部品と材料の残骸に頼ってきた。
しかし、もはやそれらは必要ない。わずか1カ月余り前、北朝鮮は色鮮やかな写真付きで、核弾頭を搭載した大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発に向けた急ピッチな試みを示す、各種の実験や他の活動についての記事を公表した。
こうした情報開示の理由について、多くのアナリストは、北朝鮮が自身の核開発能力について世界と自国民に理解させることが、核能力自体よりも重要だと思っているとみている。それにもかかわらず、孤立する北朝鮮の真の能力と意図は依然として不明だ。
「北朝鮮が、地上試験活動の接近写真を提供するのは、ほとんど前例のないことだ」。衛星や、ロケット打ち上げ機の推進システムを専門とする航空宇宙エンジニアのジョン・シリング氏は、ロイターに対しこう述べた。
「この開放性は、根本的な戦略が軍事的なものであると同時に外交的なものであることを意味している」と同氏は語る。「同国にとって重要なのは、こうした能力を持っていることだけでなく、能力を持っていると私たちが信じることだ」
北朝鮮は過去10年間に4回、直近では1月に核実験を実施している。
北朝鮮の国営メディアは9日、新型ICBMエンジンの燃焼実験に成功したと報じた。公開された写真を専門家が分析したところ、旧ソ連の中距離弾道ミサイル「R-27」の2つのエンジンが束ねられ、2カ所から排気プルーム(煙)を噴出していた。