死者47万人、殺された医師705人......シリア内戦5年を数字で振り返る
1825日目の悪夢にまだ終わりは見えない
国境を閉ざされても ギリシャ西部でマケドニアとの国境の川を命懸けで渡る難民・移民たち(2016年3月14日) Stoyan Nenov-REUTERS
5月15日で、シリアの内戦が始まってちょうど5年になった。中東全域に広がった「アラブの春」のひとつとして始まったバシャル・アサド政権に対する市民の反乱は、巨大なモンスターへと姿を変えた。政府軍と反政府勢力、ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)やヌスラ戦線といったテロ組織が攻撃し合う状況の中に、シリアの民衆は囚われている。
このシリア危機を物語る数字をいくつか紹介する。
5年
戦争が始まってからの年数。あるいは60カ月、1825日、4万3800時間と言ってもいい。
55.7年
2014年のシリア国民の平均余命。戦争が始まって以来、20年以上も短くなった。NGOのシリア政策研究センターによると、2011年以前の平均余命は79.5歳だった。
47万人
シリア内戦の最新の推定死者数(シリア政策研究センターによる)。よく引用される「25万人」という数からは飛躍的な増加となる。25万人は国連による統計だが、国連は2014年初頭から死者数の集計をやめている。
190万人
同じくシリア政策研究センターによる、シリア内戦による負傷者数。同センターの報告書によれば、シリアの全人口の10%以上が戦争により死傷していることになる。
94人
2011年以降に、確認された動機によりシリアで殺害されたジャーナリストの数(米NPOのジャーナリスト保護委員会〔CPJ〕による)。「確認された動機」とは、CPJが「以下についてかなり確かだと判断できるケースのこと。すなわち、ジャーナリストがその仕事に対する直接的な報復で殺害される、戦闘状態において砲火を浴びて殺害される、デモ隊の取材など危険な任務を遂行中に殺害される、といったケース」。これに加え、シリアでは同期間に11人のジャーナリストおよび1人のメディア関係者――取材のガイドを務めていた――が、CPJが動機を確認できないケースで殺されている。