最新記事

プーチン

「ロシア元スパイの暗殺はプーチン大統領が承認」英国調査委員会が断定

ロシア政府は、調査結果について「両国の関係を悪化しかねない」と批判

2016年1月22日(金)10時04分

1月21日、ロシアの元スパイで、プーチン政権に批判的だったアレクサンドル・リトビネンコ氏が2006年にロンドンで暗殺された事件について、英国の調査委員会は、プーチン大統領(写真)がロシア連邦保安局(FSB)による暗殺を「おそらく承認した」との見解を示した。モスクワで代表撮影(2016年 ロイター)

 ロシアの元スパイで、プーチン政権に批判的だったアレクサンドル・リトビネンコ氏が2006年にロンドンで暗殺された事件について、英国の調査委員会は21日、プーチン大統領がロシア連邦保安局(FSB)による暗殺を「おそらく承認した」との見解を示した。

 プーチン政権批判を続けていたリトビネンコ氏(当時43)は2006年、亡命先のロンドンで放射性物質「ポロニウム」の入ったお茶を飲んだ後に死亡した。

 調査委員会は、FSBの前身であるソ連国家保安委員会(KGB)の元職員、アンドレイ・ルゴボイ氏と別のロシア人、ディミトリ・コフトン氏が、おそらくFSBの指示で暗殺を実行したと指摘。FSB長官だったニコライ・パトルシェフ氏とプーチン大統領が暗殺を「おそらく承認した」と結論付けた。

 この調査への協力を拒んでいるロシア政府は、調査結果について「両国の関係を悪化さかねない」と批判。実行犯とされるルゴボイ氏とコフトン氏はすでに事件への関与を否定し、調査への協力も拒否している。インタファクス通信によると、国会議員となったルゴボイ氏は自身への非難はばかげている、と語った。

 英国のメイ内相はロシア政府の行為を「野蛮」と非難。キャメロン首相は、さらなる措置を講じる可能性を排除しない、と述べた。

 英政府は、駐英ロシア大使を呼び出し、ロシア政府に容疑者2人の身柄引き渡しを求めている。ロシア政府はこれまで引き渡しを拒んできた。

 

[ロンドン 21日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部の民家空爆 犠牲者多数

ビジネス

米国は以前よりインフレに脆弱=リッチモンド連銀総裁

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ空軍が発表 2人負

ビジネス

大手IT企業のデジタル決済サービス監督へ、米当局が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「ワークライフバランス不要論」で炎上...若手起業家、9時〜23時勤務を当然と語り批判殺到
  • 4
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 8
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 9
    クリミアでロシア黒海艦隊の司令官が「爆殺」、運転…
  • 10
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶり…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中