最新記事

選挙

仏地方選は極右が一転全敗、右派野党優勢・社会党は退潮鮮明

第1回投票で大躍進した国民戦線だが、オランド率いる社会党が自党より右派連合に投票するよう呼び掛ける「奇策」に

2015年12月14日(月)10時46分

12月13日、フランス地域圏議会選の第2回投票が実施され、最新の出口調査によると、第1回投票では大躍進した極右「国民戦線(FN)」は、いずれの地域圏でも第1党とはなっていないもようだ。エブリーで撮影(2015年 ロイター/Charles Platiau)

 フランス地域圏議会選(2回投票制)の第2回投票が13日実施された。開票率84%時点の公式発表によると、第1回投票で躍進した極右の国民戦線(FN)は本土13地域圏のいずれでも勝利を逃した。2017年大統領選出馬を目指すルペン党首にとって手痛い結果となった。

 サルコジ前大統領が率いる共和党を中心とする右派連合が7地域圏、オランド大統領の社会党が5地域圏を制した。しかし全敗したとはいえ、国民戦線の得票率は同党としては過去最高を記録しており、右派連合、社会党ともに勝利を祝うムードではない。特に、2010年の前回選挙では22中21の地域圏を掌握していた社会党の退潮は鮮明だ。

 6日に行われた1回目の投票は、パリ同時多発攻撃を受けて国民の間で治安や移民をめぐる警戒感が高まっていたことを背景に、移民の排斥などを訴えるルペン氏の国民戦線が全国得票率1位に躍進した。

 危機感を募らせた社会党は、ルペン党首が候補者となっている北部と、ルペン党首のめいが立つ南東部で第2回投票を辞退。国民戦線の勝利を阻むため、右派連合に投票するよう呼び掛ける「奇策」に打って出た。

 バルス首相(社会党)は「安心したり、勝利に酔ったりする場合ではない。極右が突き付けた危険が去ったわけではない」と強調した。

 サルコジ前大統領も、国民戦線が高い得票率を集めたことについて「われわれを含むすべての政治家に警告となった」と述べ「国民が心配していることについて、真剣な議論を行うべきときだ」としている。

 開票率84%時点では、北部地域圏における得票率は、右派連合が57.2%、国民戦線が42.8%。また、南東部地域では、右派連合の得票率53.7%に対して、国民戦線は46.2%にとどまった。

 ルペン党首は、国民戦線への追い風は選挙のたびに高まっていると強調。南東部と北部で社会党の勢力が「完全に絶えた」ことを歓迎したほか、社会党などが展開した「反ルペン」キャンペーンを非難した。

[パリ 13日 ロイター]

120x28 Reuters.gif
Copyright (C) 2015トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ECBの4月据え置き支持、関税などインフレリスク=

ビジネス

中国新規銀行融資、予想以上に減少 2月として202

ビジネス

独BMW、関税戦争が業績10億ユーロ下押しへ 24

ワールド

プーチン氏がトランプ氏に伝言、「慎重な楽観主義」あ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
2025年3月18日号(3/11発売)

3Dマッピング、レーダー探査......新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 2
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 3
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ?
  • 4
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 5
    SF映画みたいだけど「大迷惑」...スペースXの宇宙船…
  • 6
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 7
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ…
  • 8
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 9
    「トランプの資産も安全ではない」トランプが所有す…
  • 10
    「紀元60年頃の夫婦の暮らし」すらありありと...最新…
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 3
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 4
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 5
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 6
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 7
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 8
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 9
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ…
  • 10
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中