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朝鮮半島軍事境界線のクリスマスツリーに北が激怒
韓国では宗教行事だが、北朝鮮にとっては「心理戦の道具」
祈りは通じる? 毎年クリスマスに電灯で飾られていた鉄塔。今年再建の予定 Jo Yong hak-Reuters
家の庭に電灯をたくさんつけた巨大なクリスマスツリーを立てる時には、ご近所への配慮も必要だ。隣の家のクリスマスの電飾が窓からピカピカ見えたら、それこそ近所迷惑だ。そして隣の住人が「北朝鮮」である韓国では、この話はもうちょっとややこしくなる。
今週、韓国国防省は、北朝鮮との軍事境界線の近くの丘の上に、キリスト教団体が高さ約9メートルのクリスマスツリーを設置することを許可した。まったく問題ないように思える。その大きさのツリーが、宇宙から見えることもない。
ただ唯一の問題は、北朝鮮がクリスマスを嫌がっていること。ウォールストリート・ジャーナルによると、北朝鮮はこれまで「宗教を独裁的指導者への脅威とみなし、常に(境界線付近での)クリスマスツリーの設置に反対する声明を出してきた。ツリーを『心理戦の道具』と呼び、砲弾で攻撃すると韓国を脅した」
「ツリーの点灯は1971年に当初は宗教行事として始まった。ところが北朝鮮側からはきらびやかな電飾が見えるため、『心理戦の道具』とみなされた」と、韓国の聯合ニュースは報じている。
「2004年に南北が宣伝活動をやめることで合意するまで、鉄塔(当時は鉄塔をツリーに見立てて電灯をつけていた)は毎年クリスマスの時期に点灯された。その後は、共産主義国である北朝鮮を挑発しないようセレモニーはしばしば中断されたが、韓国海軍の哨戒艦『天安』が北朝鮮に撃沈された2010年以降、ツリーが復活した」
昨年までツリーとして点灯された鉄塔は、老朽化を理由に今年10月に韓国軍に撤去されたため、キリスト教団体はその代わりのツリーを再建することにした。北朝鮮の指導部は今年の冬、どう反応するだろうか。
© 2014, Slate