中国が突き進む原発大国への道
福島の事故を受けて中断されていた原発推進計画が、ここにきて再び加速している
建設ラッシュ 中国各地で原子炉の新規建設が相次ぐ見込み(浙江省の秦山原子力発電所) Reinhard Krause-Reuters
中国各地で原子炉の新設を進め、2020年までに原子力による発電能力を58ギガワットに引き上げる──東日本大震災の福島第一原発事故でいったんペースダウンしていた中国の原発推進計画が、ここにきて再び勢いづいている。
国有の原子力企業、中国核工業集団公司(CNNC)の孫勤(スン・チン)会長によれば、今後数カ月のうちに原子炉新設の承認手続きが加速するとみられ、20年までに20基、あるいはそれ以上が新たに建設される見込みだという。
中国政府が進めるクリーンエネルギーへの移行計画も、原子力の民間利用を劇的に拡大する原動力になっている。中国には現在、原子炉が17基あるが、そこで生み出される電力は全体の2%以下。CNNCは浙江省の三門原子力発電所で2基の原子炉の建設を進めており、来年には稼働できる見込みだという。東芝傘下の米ウェスティングハウス・エレクトリック社が開発した新型原子炉AP1000が採用されており、高い発電性能が期待できる。
2010年に工事が始まったものの、福島原発事故を受けて中断されていた海南島の原発建設についても、CNNCは工事再開の準備を進めている。ただし、当局の承認を得るのに2,3年かかる見込みだと孫は語っている。
中国政府は11〜15年の5カ年計画の期間中に4〜6基、続く15〜20年の新5カ年計画でさらに6〜8基の新設を承認するとみられる。「非化石エネルギーの割合を2020年までに15%に引き上げるという政府の目標を達成するうえで、原発は重要な役割を担うだろう」と、孫は語る。CNNCは新株発行で30億ドルの調達をめざしているが、「調達額は市場に左右される。今年中に実現させたい」と、孫は言う。