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科学3万年前の巨大ウイルスが人類を襲う?
シベリアの永久凍土に封印されていたウイルスが地球温暖化や開発によって息を吹き返す恐れも
迫る危機 シベリアの永久凍土はすでに解けはじている Dmitry Solovyov-Reuters
シベリアの永久凍土層の奥深くで3万年以上眠っていたウイルスの蘇生に成功した──3月3日、フランスの研究チームが米国科学アカデミー紀要(PNAS)にそんな発見を発表した。「ピソウイルス・シベリクム」と命名されたこのウイルスは非常に「巨大」で、電子顕微鏡を使わなくても光学顕微鏡で見ることができるという。
ハリウッドのB級映画なら、この巨大ウイルスが増殖して人類を危機に陥れるところだが、その心配は杞憂のようだ。研究チームによれば、このウイルスは単細胞である特定のアメーバにしか感染せず、人体には無害らしい──少なくとも今のところは。
不思議なのは、何万年もの間、永久凍土の下で眠っていたウイルスが、なぜ今になって大胆にも姿を現したのかということだ。その答えは、どうやら気候変動による凍土の融解あるようだ。そして冗談抜きで、こうした未知の病原体が将来、人間界に恐ろしい病気をまき散らす可能性は否定できない。
「太古の昔のウイルスが蘇生したのだから、地球温暖化や北極圏の開発によって永久凍土が解ける事態になれば、将来的に人類や動物の健康にとって脅威となるかもしれない」と、研究チームを率いた仏エクス・マルセイユ大学のジャンミシェル・クラベリは指摘する。
発見されたウイルスが通常のウイルスと多くの点で異なることも、このニュースが世界的な注目を集める一因だ。通常のインフルエンザウイルスは13個の遺伝子をもち、直径は約100ナノメートル。一方、クラベリらが最近相次いで発見している巨大ウイルスは数100個の遺伝子をもち、大きさもインフルエンザウイルスの1000倍ほどだという。
今すぐ、こうしたウイルスが目覚めて人類に襲いかかる恐れがあるわけではない。だがクラベリは、今回の発見が人類などへの脅威となる重大な発見の予兆かもしれないと警告している。乱開発によって永久凍土が解けはじめれば、その奥に閉じ込められていた天然痘のような恐ろしい病気が蘇る可能性もあるというのだ。
「天然痘ウイルスは地球上から根絶されたわけではなく、地表から消えただけだったのかもしれない」と、クラベリはBBCに語っている。「今後、天然痘が再び現代人に襲いかかる可能性が浮上してきた」
From GlobalPost.com特約