最新記事

米中関係

次の駐中国アメリカ大使は対中タカ派の急先鋒

為替操作や不公正貿易で中国を批判した強硬派指名の意味は

2014年1月7日(火)16時16分
ジョシュア・キーティング

72歳のボーカスは今期で上院議員引退を表明していた Jonathan Ernst-Reuters

 次の駐中国アメリカ大使に指名されると報じられたマックス・ボーカス上院議員(民主党)。この人選は米中関係にどう影響するのだろうか。

 外交やアジアの専門家でもないという点では、キャロライン・ケネディ駐日大使の指名と似ている。だがボーカスは上院議員として35年間、米中の通商問題に深く関わってきた。

 00年代から「中国問題に関する連邦議会・行政府委員会(CECC)」で委員長を務め、今もメンバーとして在籍。CECCは中国の人権問題と経済政策に厳しい姿勢で知られる。

 ボーカスは02年のブッシュ大統領(当時)訪中を前に、中国の政治犯の罪状の見直しや釈放、市民的・政治的権利を定めた国際人権規約の批准を要請すべきだと進言した。

 また近年は上院財政委員長として、中国の為替相場の操作問題を指摘。「中国の輸出業者を不公正に利するものであり、アメリカの製造業と労働者が損失を被っている」と公開書簡で訴えた。中国のレアアース(希土類)輸出制限に関しても、アメリカがWTO(世界貿易機関)へ提訴することを支持した。

 10年に訪中した折には国家副主席(当時)と会談。アメリカ産牛肉の輸入制限に関して、「中国による根拠なき非科学的な障壁はアメリカからの輸出を不公正に阻んでいる」と非難した。

 こんな対中タカ派がどんな大使を演じるか。米中関係があまり穏やかではないタイミングでの指名は、実に意味深だ。

© 2014, Slate

[2013年12月31日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア軍、ウクライナ東部ウクラインスク制圧=報道

ワールド

ウクライナの新たな越境攻撃5回を撃退=ロシア

ビジネス

カナダCPI、8月は2.0%上昇に伸び鈍化 中銀目

ワールド

ロシア前国防相がイラン訪問、安保トップと会談 北朝
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...試聴した「禁断の韓国ドラマ」とは?
  • 2
    エリザベス女王とフィリップ殿下の銅像が完成...「誰だこれは」「撤去しろ」と批判殺到してしまう
  • 3
    地震の恩恵? 「地震が金塊を作っているかもしれない」との研究が話題に...その仕組みとは?
  • 4
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 5
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 6
    原作の「改変」が見事に成功したドラマ『SHOGUN 将軍…
  • 7
    バルト三国で、急速に強まるロシアの「侵攻」への警…
  • 8
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座…
  • 9
    ロシア軍、世界2位の150万人規模へ 大統領令で18万…
  • 10
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 3
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢な処刑」、少女が生き延びるのは極めて難しい
  • 4
    【クイズ】自殺率が最も高い国は?
  • 5
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 6
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 7
    アメリカの住宅がどんどん小さくなる謎
  • 8
    キャサリン妃、化学療法終了も「まだ完全復帰はない…
  • 9
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 10
    ウィリアムとヘンリーの間に「信頼はない」...近い将…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 4
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 5
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 6
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 7
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
  • 8
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 9
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 10
    止まらない爆発、巨大な煙...ウクライナの「すさまじ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中