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中東イラク宗派対立の修羅場
ひと月で死者700人という対立にはシリア内戦の影響も
暴力再燃 シーア派を狙ったとみられる爆発現場(バグダッド) Mohammed Ameen-Reuters
宗派対立が再燃しているイラクで、暴力やテロが止まらない。北部キルクークでは先週、家畜市場で爆発が次々起き、少なくとも12人が死亡。その前日にも国内各地でイスラム教シーア派の住民を狙ったとみられる爆発で、76人以上が死亡した。
キルクークの爆発でいとこを亡くした男性は「ここが標的になるなんて思わなかった。動物たちは政治や宗教とは無関係なのに」と、AP通信に語った。
政権を握る多数派のシーア派と、少数派のスンニ派の緊張は高まるばかりだ。先週は200人以上が犠牲になった。これだけ状況が悪化しているのは、隣国シリアで続くシーア派系のアサド政権と、スンニ派反政府勢力の内戦も影響している。
イラクにおける流血は、政府が少数派の不満にきちんと対応しなかったことも原因だと、ニューヨーク・タイムズ紙は指摘する。このところの暴力激化は、4月に北部ハウィジャでスンニ派の反政府デモ隊を軍が襲い、50人を殺害した事件がきっかけと言っていい。イラクでは4月だけで700人以上が暴力行為などで死亡した。過去5年で最悪の数字だ。
From GlobalPost.com特約
[2013年6月 4日号掲載]