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ロシアプッシー・ライオットの美女たちに反プーチン罪
プーチンを批判した女性バンドに実刑判決が下って西側各国やセレブたちの批判も頂点に達したが、やるべきことはまだまだある
宗教憎悪罪? 裁判所でのアリョーヒナ(右)とトロコンニコワ(左)(7月30日) Maxim Shemetov-Reuters
ロシアの女性パンクバンド「プッシー・ライオット」がモスクワにあるロシア正教会の大聖堂で、プーチン首相(現大統領)を批判する歌を歌ったのは今年2月のこと。モスクワ地区裁判所は8月17日、3人のメンバー(マリーナ・アリョーヒナ、ナジェージダ・トロコンニコワ、エカチェリーナ・サムツェヴィッチ)に宗教的憎悪に基づく暴徒罪で禁錮2年の実刑判決を下した。
だが、これですべてが終わったわけではない。カラフルな覆面姿の女性グループが教会内で「聖母マリア様、プーチンを追い出してください!」と歌う映像を見れば、少なくとも5人が演奏に関与していたことがわかる。
だが今回裁判にかけられたのは3人だけ。治安当局が残りのメンバーの素性を知っていたかどうか不明だが、当局は今も彼女たちの行方を追っている。「今も捜索が行われている」と、ロシア内相の広報官は語った。
プッシー・ライオットの広報を務めるピオトル・ヴェルジロフはニュースサイト、グローバル・ポストに対し、抗議行動を起こしたグループには約20人の女性からなる「製作チーム」があると語った。未確認情報だが、「プーチンが革命に火をつける」と題した新曲をネットにアップしたのもこのグループかもしれない。
マドンナもスティングも立ち上がった
「公共の秩序を著しく乱した」として3人に懲役刑が下されると、欧米各国では一斉に批判の大合唱が湧き起こった。マドンナをはじめとする多くの有名人やメディアがこぞってプッシー・ライオットを支持し、プーチン政権の権力乱用を非難している。
とはいえ、世間の関心は移ろうもの。注目の裁判のクライマックスシーンが終わった今、メディアは他の反プーチン活動家らが直面している法廷闘争にも光を当てるだろうか。たとえば人権派弁護士エフジェニ・アルヒホフの存在や、彼が弁護している11人の反体制派の苦闘について、一般市民はいまだに知らないでいる。
いずれプッシー・ライオットの残り2人のメンバーが逮捕され、裁判で重すぎる不当判決を受けたとしよう。そのときメディアの関心が薄れていても、マドンナやスティングは彼女たちを支持して立ち上がるだろうか。
安全保障の専門家ジョシュア・ファウストは米誌アトランティックで次のように書いている。「プッシー・ライオットの裁判が民主化に逆行するプーチン政権の実態について西側の関心を高め、弾圧を緩めるようロシア政府に圧力をかける大衆運動を広げる一助になったとは思えない。むしろ、パンクロッカーが教会での小さなコンサートごときのために刑務所に送られるという悲しい事態への怒りを、西側に引き起こした程度にみえる」
この言葉が間違いであることを祈ろう。
(GlobalPost.com特約)