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メディア韓国は北朝鮮並みの言論統制国家?
「国家の敵」北朝鮮に関するジョークが国家保安法違反に問われる強権体質
要注意 ツイッターやネット放送でも言論の自由は狭まっている Lee Jae-Won-Reuters
朝鮮半島では国家への脅威と見なされる表現が抹消されたり、政府を批判する人が投獄されたりすることがある。北朝鮮の話だろうって? いや、韓国でも同様な事件が問題になっている。
韓国人の写真家パク・ジョングン(23)はツイッターで北朝鮮を嘲りの対象にしたり、北朝鮮当局のツイートを冗談のような形で紹介したりした。だが韓国当局にはパクのユーモアは理解されなかったらしい。
今年1月、パクは国家保安法違反で起訴された。「国家の敵への称賛と支持」のかどで実刑を受ける可能性もある。
「国家の安全保障とは何の関係もない話だ」と、人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルのサム・ザリフィは言う。「平和的に発言する人間を拘束するのは国際法違反だ」
48年に制定された国家保安法は北朝鮮を賛美したり、工作員に協力したりする人物を取り調べるために使われる。半面、言論の自由を抑圧する手段にもなっているという批判もある。
「私たちは70年代以来、言論の自由への侵害を数多く報告してきたが、どの事例にも国家保安法が利用されている」と、アムネスティ・インターナショナル韓国支部のパク・ジノクは言う。
アムネスティのパクは、今回の出来事を見ても同法の問題点は明らかだと語る。「懸念すべきなのは起訴の正当性ではなく、政府が国家保安法を言論統制に利用し、国民を自由に発言させまいとしていることだ。以前の標的は北朝鮮の支持団体だったが、今では個人だ」
李明博(イ・ミョンバク)が08年に大統領に就任して以来、この傾向が強まっている。国家保安法違反の疑いで取り調べられた人は07年は39人だったが、10年は151人に急増。北朝鮮寄りとされる投稿をネットで行った人への法的措置は、08年の5件から10年には82件に増えた。
昨年、ネット放送の人気出演者で野党政治家の鄭鳳株(チョン・ボンジュ)に対する裁判で、李大統領が就任前に株価操作に関与したとの噂を流した罪で懲役1年の実刑が確定。鄭の支持者は、李の出身母体の与党ハンナラ党(現セヌリ党)が今年4月の総選挙をにらんで、野党への支持をそぐために取った動きだったと主張している。
国連の言論・表現の自由に関する特別報告官フランク・ラ・ルエも「(韓国における)表現の自由は狭まっている」とみている。
[2012年5月30日号掲載]