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インターネット国連がネットのビッグブラザーになる日
中国やロシアの後押しで、国際レベルでのネット検閲条約が可決されるかもしれない
監視の目 国連で話し合われる新たな「ネット統治」体制は、すべてが監視下に…… Jason Reed-Reuters
オンライン海賊行為防止法(SOPA)をめぐる米議会との戦いはひとまずネット業界の勝利に終わったが、これが序幕に過ぎないことは明らかだ。国境を越えた言論空間であり商空間でもあるインターネットをどう管理するかという「インターネット統治」問題は、いずれ何らかの決着を見なければならない。
国連では、来週から国際レベルでのネット規制に関する新しい条約について話し合いを行う予定だ。特に中国やロシアは国際的に厳しいネット規制が敷かれることを望んでいると、米連邦通信委員会のロバート・マクドウェルはウォールストリート・ジャーナル紙に書いている。
国際的なネット規制が導入された場合、経済的・技術的な制約を受けていないからこそ繁栄しているネットの世界が「ひっくり返る」と、マクドウェルは指摘する。ブラジルやインドなどの国も今回の規制案に「強い関心をもっている」が、ネット世界に規制を導入すれば、インターネットの「分断」を招くと警告する。
インターネットは、言論規制や検閲のない国々では自由な意見やアイデアを共有する場として発展してきた。だが今回の構想はこれまで規制のなかったネット世界に国境が生まれることを意味する。
今回の条約を積極的に支持するロシアのウラジーミル・プーチン首相は、「国際的なインターネットの管理」を構築する必要があると主張している。
この国連の条約で提案されている条項のいくつかは、ネットユーザーにも大手ネット企業にも、ジョージ・オーウェルの小説『1984』に登場する支配者「ビッグ・ブラザー」を想起させる。例えば......。
■サイバーセキュリティーと情報のプライバシーを国際レベルで管理する。
■国営通信会社や政府に、海外からのアクセスに対して通信料金を課すことを認める。
■通信事業者が構築し、インターネットを支えている国際的IPネットワークを経済的に規制する。
条約は2月27日からスイスのジュネーブで話し合われる予定だ。国連安全保障理事会とは違い、国連国際電気通信連合(ITU)の加盟国には条約や決議に対する拒否権利がなく、条約の成否は単純な多数決で決まる。アメリカはまだ条項について交渉するための代表者を任命していない。
ネット上の活動家たちが、この「国際版SOPA」とも言える条約に反撃の狼煙を上げるのはまちがいない。