最新記事
ヨーロッパ脱メタボ国家の切り札はチョコレート税
肥満撲滅のために「脂肪税」を導入したデンマークで、チョコレートが新たな課税の標的に。しかし効果より弊害の方が大きくなる恐れも
狙い撃ち スイーツには「にがすぎる」試練になりそう Jean-Claude Amiel/Getty Images
喫煙者を減らしたければ、タバコを値上げすればいい――この発想は欧米諸国で実践され、見事な成果を上げている。これにヒントを得てか、デンマークは2011年10月からひと味変わった税を新たに導入した。「脂肪税」だ。
これは、飽和脂肪酸を一定以上含む加工食品に対して課されるもの。飽和脂肪酸1キロ当たり16クローネ(約218円)が課税される。国民のウエストの膨張を止め、動脈硬化から守るのが狙いだ。導入後、バターやポテトチップス、牛ひき肉などが軒並み値上がりした。
さらに今年から、脂肪税の新たな標的となったのがチョコレートだ。1月1日からチョコレート1キロ当たり6クローネ(約82円)が課税される予定だ。
13年からは、加工食品に含まれる糖類も、1キロ当たり最大24クローネ(約328円)が課税されるという。
チョコレートの健康効果は無視
売る側にしてみれば、事態はきわめて深刻だ。「われわれのように小さな店は大きな痛手を受ける」と、あるベーグル店の店主は言う。「ピクルスだって砂糖を使っている」
コペンハーゲン大学のアルネ・アストラップ栄養学部長は、「チョコレートが健康的でないという根拠はない」と語る。「バターもクリームも加えないダークチョコレートは特に、健康にいい効果をもたらすことが証明されている」
デンマーク人は先進国の中でもスリムで、肥満は10人に1人(ちなみにアメリカは3人に1人)。とはいえ、健康に悪い食生活は早死ににつながると指摘する専門家もいる。
[2012年1月 4日号掲載]