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フランスまんまと「侵入」を許した原発のお粗末
福島第一原発事故に続き、安全神話のもう一つの抜け穴を暴露したグリーンピースの侵入作戦
抜け穴だらけ 狙われたノージャンシュルセーヌの原発施設 Jacky Naegelen-Reuters
12月5日、フランスでは原子力行政関係者が2ヵ所の原子力発電所を抜き打ちで視察に訪れることになっていた。だが、国内の別の原子力発電所を襲ったのは、それ以上のサプライズだった。環境保護団体グリーンピースの活動家らが、警備の目を盗んで敷地内に侵入し、原子炉の近くにまで到達したのだ。
狙われたのは、パリから100キロほど南東に位置するノージャンシュルセーヌの原子力発電所。グリーンピースのメンバーらは原子炉建屋の外壁に「やった!」「簡単!」などと書かれた横断幕を掲げた。AP通信はその様子をこう伝えている。
ドーム形の原子炉建屋に登って、「安全な原子力は存在しない」という幕を掲げ、危険を示唆するびっくりマークを屋根にペンキで描いた者もいた。(中略)グリーンピースによれば、福島第一原子力発電所が津波で破壊された事故を受けてフランス当局が命じた安全基準の見直しが自然災害だけに特化しており、人的「災害」を考慮に入れていないことを、今回の侵入で示したかったという。
電力業界に徹底調査を指示
グリーンピースは、他にも3つの原発でも侵入を試みたものの、警備当局に阻止された。だがノージャンシュルセーヌ原発に侵入して逮捕されたメンバーらが、他の原発への侵入に成功した仲間がいると語ったため、当局は国内20カ所の原発すべての調査に乗り出した。
ブルームバーグによれば、事件について知らされたニコラ・サルコジ仏大統領は、「自分と他人の命を危険にさらす無責任な行為だ」と非難したという。
それでも、グリーンピースの奇襲作戦のインパクトは抜群だったようだ。エリック・ベッソン産業担当相は「このような事態が二度と起きないよう手立てを講じる」必要があると発言。産業担当省も、原子力業界に徹底的な調査を求めると語っている。
原子力大国フランスでは、国内の電力需要の4分の3近くを原発に依存している。反原発デモが頻発しているわけではないが、先月には放射性廃棄物の輸送をめぐってデモ隊と当局が衝突する事件があった。グリーンピースが暴露した原発の安全神話の「抜け穴」は、国民の不信を招く新たな火種になりかねない。