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中国社会広州暴動だけじゃない中国崩壊の兆し
政府ビルを狙った爆破事件、土地押収に抗議する焼身自殺──沸点を越えた民衆の怒りは本物の「ジャスミン革命」の引き金となりかねない
我慢の限界 広州郊外で勃発した出稼ぎ労働者の暴動は3日間続いた(6月11日) Reuters
広東州広州は中国の製造業を支える南部の一大工業都市。だが経済の急成長の陰で鬱積してきた労働者らの怒りはついに極限に達し、中国の安定を揺るがそうとしている。
織物工場が集中し、中国全土から出稼ぎ労働者が集まる広州近郊の増城市で先週末、3日続けて出稼ぎ労働者による暴動が勃発。警察は催涙弾を使って何とか騒ぎを鎮圧したとされる。
ことの発端は6月10日夜、露天の無許可営業を取り締まる治安当局が、露天商の妊婦に暴力を振るったこと。当局は女性に移動を求めたが話が折り合わず、女性を地面に押さえ付けたとされる。女性の夫の抗議に同調した労働者らと治安当局の小競り合いが暴動に発展。BBCによれば、5月12日夜には約1000人に膨れ上がったデモ隊が、車両に火をつけ、警察にレンガを投げつけ、政府関係の建物や警察車両を破壊。当局も催涙弾を発射し、武装車両を派遣して鎮圧に乗り出した。一連の暴動で少なくとも25人が逮捕されたという。
今回の騒乱のニュースが世界中の注目を集めたのは、衝突を目撃した市民らがその様子を次々にネット上にアップしたため。ただし、中国の工業地帯ではこの数年、こうした労働者の反乱は珍しい話ではない。広東省潮州では先日、陶磁器工場で働く200人の出稼ぎ労働者が賃金支払いを求めて、政府系ビルを攻撃し、車両に火をつけた。
「周辺地域から出稼ぎに来る安い労働力を使って製造業の労働力不足を補ってきた経営者に対して、若い出稼ぎ労働者らが賃上げと待遇改善を求めている」表れだと、オンラインニュースサイト「グローバルポスト」のキャスリーン・マクローリン記者は指摘している。
民衆の怒りが表面化するのは、暴動という形だけではない。中国では都市計画を急ピッチで進めるために住民を強制的に立ち退かせるケースが相次いでおり、家を奪われた人々による抗議の焼身自殺が相次いでいる。
中東革命の再来に危機感を強める当局
当局が最も懸念を募らせているのは、政府機関を狙った度重なる爆破事件だ。5月末には、江西省撫州市で検察や市庁舎を狙った連続爆破事件が発生。天津市でも先週、男が爆弾を市庁舎に投げつける事件が起きたばかりだ。
中国社会科学院によれば、中国では2006年に6万件以上だった「集団による事件」が07年には8万件以上に増加。大半は公務員の不正や環境汚染、低賃金などの不満を地方自治体の役人にぶつけるだけの小規模なデモだが、最近相次ぐ派手な騒乱は市民の怒りが沸点に達していることの表れだろう。
中東や北アフリカ諸国で民主化デモを引き金にした体制崩壊が相次ぐ中、中国共産党は自身の支配体制が脅かされるリスクに極めて敏感になっている。7月1日に共産党創立90周年を控え、指導部の交代が来年に迫っているこのタイミングで国内が不安定化すれば、国際社会に対しても格好がつかない。
今年春に中東から飛び火した「ジャスミン革命」は掛け声倒れに終わったが、中国に本当の意味での内部崩壊の危機が押し寄せるのはこれからかもしれない。