革命を導いたネットの自由戦士
The Facebook Freedom Fighter
昼はグーグルの地域幹部として働き、夜はネットを駆使して革命を後押しした「フェースブック闘士」の正体
[2011年2月23日号掲載]
不吉な電話が入ったのは米東部時間の1月27日、夜遅くだった。エジプトの首都カイロに住む友人の声だった。「奴らに尾行されている。この電話機はすぐに壊す」
そして電話は途絶えた。
程なくしてエジプト全土の携帯電話が、続いてインターネットが使えなくなった。何としてでも反体制デモを封じ込めたい当局が、奥の手を使って通信を遮断したからだ。
電話の主は消えた。わずかに残された痕跡はツイッター上の悲痛なつぶやきのみ。「エジプトのために祈ろう」
3日後。アメリカの首都ワシントンでは亡命エジプト人女性のナディヌ・ワハブがパソコンの画面を見詰めていた。あの電話の主が消息を絶ったなんて、そんな噂は嘘であってほしいと念じながら。
突然、パソコン画面に彼のユーザーネームが現れた。
「アドミン1が行方不明だ。こちらはアドミン2」
この「アドミン1(アドミンは管理人の意味)」こそ電話の主。カイロの反政府デモで重要な役割を果たしたフェースブックのファンページを管理する匿名の人物だ。
彼はワハブに、もしものときの対応を事前に指示していた。自分が姿を消したら、最初のデモから2週間後の2月8日まで待って、その後に自分の名前と正体を公表してほしい、と。
言われたとおりに彼女はネット上で平静を装い、沈黙を貫いた。「アドミン2」については何も知らされていなかったから、そのメッセージ自体が罠である可能性も否定できなかった。
エジプト社会に激震をもたらしたネットの動員力。その核にいた「アドミン1」こそ30歳のワエル・ゴニム。表の顔はネット検索最大手グーグルの地域幹部だ。...本文続く
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