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記者襲撃事件で試される大統領の正義

2010年11月18日(木)15時12分
オーエン・マシューズ(モスクワ支局長)、アンナ・ネムツォーワ(モスクワ)

 プーチン前大統領時代、ロシアでメディア関係者が暴力や脅迫を受ける事件が起きれば、黒幕は政府だと思われていた。少なくとも黙認していたのは確かだ。そのため先週、独立系コメルサント紙の花形記者オレグ・カシンが襲撃されて重傷を負ったときも、人々は思った。政府はまた何事もなかったように振る舞うのだろう、と。

 だが驚くべきことに、メドベージェフ大統領は個人的に入院中のカシンに見舞いを送り、事件の特別捜査班を組織。自身のブログには、黒幕がたとえ権力者でも裁きを下すと書き込んだ。

 黒幕が政府でないなら、いったい誰だったのか。コメルサントによれば、最も疑わしいのは汚職まみれの地方指導者か、与党・統一ロシアの青年組織だという。カシンは襲撃前、こうした組織の取材をしていた。

官僚や司法機関とつながりのある者が襲撃の裏にいるとすれば、メドベージェフは本当に裁きを下せられるのかを試されることになる。もし大統領の正義が誰か別の権力者に阻まれたとしたら、ロシアの報道機関にとって暗い時代は今後も続くということ。大統領が見舞いを送ったくらいで状況は変わらない。

[2010年11月24日号掲載]

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