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ロシアネットの自由を奪うFSBの影
ロシアのメドベージェフ大統領は6月の訪米でツイッターを初体験。アップルのスティーブ・ジョブズCEOとiPhone談議に興じ、シスコシステムズにはモスクワ郊外につくるロシア版シリコンバレーへの投資を持ち掛けた。
だがロシア国内では、インターネットへの締め付けを強めているようだ。ロシア連邦保安局(FSB)と検察に、ソ連崩壊以来最も広範な権限を与える法案を議会に提出。法案は、政府高官の権限を妨げロシアの名誉を傷つける「過激派」と戦うという大義を掲げているが、成立すればウェブサイトの検閲はもちろん「捜査妨害」を理由にした逮捕も可能になる。
FSBから警告を受けたプロバイダーは3日以内に「有害サイト」を閉鎖しなければならない上、再開したければサイト側が嫌疑を晴らすしかない。
言論の自由を約束していたメドベージェフは、6月のサンクトペテルブルク国際経済フォーラムでも国内外の投資家に対し、ネットは「国の将来にとって極めて重要」と語っていた。だが4月に米フリーダム・ハウスが発表した世界各国の報道の自由に関する調査では、ロシアは196カ国中175位。今回の法案が成立すれば、状況はますます厳しくなりそうだ。
[2010年7月21日号掲載]